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□舞い散る白
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「何をしているんだ」


久しぶりに(いや、実際はそんなに経ってはいないだろうが)あった恋人は、少し変わった性格になっていたらしい。
この寒いのに、何故か雪の積もった校庭に寝転んでいた。


「…世界をみていました」


訂正だ、少しじゃない。かなり変わったらしい。
確かに意地っ張りであったり変なところで素直であったりとややこしいところはあったが、何かあったのだろうか。


「風邪、引くぞ」
「引いたら、砂月さんが看病して下さい」


雪の上に寝転んでいる為か、頬も手も赤い。
とても綺麗な真っ黒な髪は、雪にまざっている。

突然一ノ瀬が目を瞑った。


「おい」


呟いて、頬を触る。
触れた頬は硝子のようにとても冷たかった。


「死ぬのか?」


頭で考えるよりも先に口から言葉が出ていた。
すると、頬を触っていた手を握られた。


「失礼ですね、死にませんよ」


握られた手はとても冷たかった。それでも握られた手からは温かさが感じられた。


「もう大丈夫ですよ」


閉ざされた瞳が開き、微笑んだ。


「ちゃんと生きますよ」


雪が降ってきて、一ノ瀬の声が校庭に響いた。


fin.

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