【黒蝶幻舞】
□第九話
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隊首会に乱入してこれでもかって位掻き回した後、一番隊隊舎の屋根の上に登った零番隊。
「あー!マジで最高だったな!」
「ホントに!」
「「全員の間抜け面見られたしね!」」
「えぇ、いい気味ですわ。」
「…俺、〆が微妙で心残りが……。」
等と先程の事を思い出しつつ笑談している。その後はやはり、どういう順序でネタばらしをするかの話し合いに変わった。
『…先ずは零番隊についてだな。僕達が最強だと知らしめる為に、護廷対零番隊で試合をする。僕達とアイツらの間にどれだけの力の差があるか……思い知らせてやろう。』
黎明のその言葉に、全員が妖しく笑う。そう、零番隊は護廷十三隊とは何もかもが違う。実力も権力も、存在意味そのものも。
「「あっ、隊首会終わったよ!早くおじーちゃんのトコに行こっ隊長!」」
『嗚呼、そうだな。』
【一番隊隊舎】
『元柳斎、さっきは悪かっな。』
「黎明殿、心臓に悪い事はあまりしないで頂きたい…。」
「いや、本当に悪かった。発案者は隊長だから、責めるならそっちで。」
『おい。』
まぁ冗談は置いといて…。
『元柳斎、零番隊を復活させる。』
「そうですか…やっと、やっと……」
『それから…復活する際に公表する事にした。』
「公表…ですか?」
元柳斎はキョトンとした顔で反復する。…ちょっと可愛いと思ってしまった。不覚。
『嗚呼。…今の護廷は腐りきってる。僕が創り出した護廷十三隊とは掛け離れた存在になり掛けてるんだ。それだけは、創世者としての僕のプライドが許さない。』
「だから最強の戦闘部隊【零】を表に出して、気を引き締めさせるんだ。」
「ま、これで引き締まってくれるなら良いんだけど。」
「「だよね〜、今回の城ヶ崎の件ではっきりしたよ。」」
「当事者の話も聞かず、真実を勝手に決めつけて信じ込む…実に下らないですわ。」
「マシな奴も居るけどなー。それでも護廷全体の5分の1にも満たないんだぜ?」
口々にそう言う。元柳斎は頷き、日取りはいつかと聞いてきた。
『そうだな……斬魄刀の解放と、他にも色々準備があるから…一週間後で頼む。それから、さっきの辞表の事なんだが…。』
「分かっております。隊長、副隊長格達には箝口令を布きました。」
『流石だな、元柳斎。それじゃあ…後は頼むぞ。』
「はっ。」
全員が元柳斎の返事を聞くと、その場から音も無く消えた。1人になった元柳斎は、ぽつりと呟く。
「……護廷はもう…終わりかもしれんのぅ…。零番隊を敵に回して、儂等が助かる可能性は万に1つも無い…。」
その元柳斎の言葉は、誰に届くこともなく…その場で消えてしまったのだった。
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