【黒蝶幻舞】
□プロローグ
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───此処は一番隊の隊舎。そこには総隊長である山本元柳斎重國と、5人の死神が居た。
「で、重要な話ってのは何だよ。」
深い藍色に銀のメッシュの入った髪を持つ男が言う。名を銀 朔夜(しろがね さくや)。零番隊副隊長。
「そーよそーよ、早く話してよー!暇ぁ。」
桃色の髪に美しい紅色の瞳を持つ少女。名を紅 心愛(くれない ここあ)。零番隊第三席。
「「それより隊長は?黎明隊長、どこ行っちゃったの?」」
顔のよく似た幼い少年と少女の双子。
名を紫煙 悠(しえん はるか)と紫煙 悠那(しえん はるな)。零番隊第四席。
「そうですわね…隊長はどちらに行かれたのですか?」
桜色の髪に透明がかった瞳を持つ女性。名を桜雨 玻璃(さくらう はり)。零番隊第五席。
その時一番隊隊舎の扉が開き、誰かが入ってきた。
『───此処だ。』
暗く紫がかった黒の髪に、左右で色の違う瞳を持つ女性。真っ白な隊首羽織を身に纏い、その背には【零】の文字が描かれていた。
──そう、彼女の名は玖龍 黎明。
零番隊隊長にして、この尸魂界の頂点である玖龍家の当主。…つまり、現霊王である。
黎明はゆっくりと全員の居る場所へと歩み寄る。
『…四十六室の所に行ってきた。』
「何で?」
『……お前達にも関係のある話だ。』
「!ま、まさか黎明殿…」
『元柳斎…嗚呼、承諾して来た。』
「Σなっ…!」
零の隊士達は全く話に着いていけずに混乱していた。
「た、隊長!どういう事…?」
『…全員、心して聞け。本日を以て、この零番隊を解散させる。』
「「「「え…!?」」」」
隊長である黎明からの突然の告白に、全員が困惑を隠せずに居た。
「解…散……」
「そんな…解散て……どうして…」
「「や、だ………やだよ!解散なんてやだぁ!」」
「説明を…して下さい、隊長…」
「黎明殿は断られると思っとったんじゃが…」
まさか承諾してくるとはのぅ……と山本は少し寂しそうに言う。
『……ごめんな、皆。だが解散にはちゃんと理由が有るんだ。』
「…理由って?」
『零が存在する意味が無くなったんだよ。』
「意味なんてそんなの…っ」
『零の仕事内容は主に護廷では対処出来ないと判断された大虚の討伐、それから王族の身辺警護や地獄の管理等だ。だが近年、その討伐対象の大虚の出現も極端に減り、王族のゴタゴタも漸く落ち着いてきた。
そして極めつけは、護廷の連中に勘づかれ始めたんだよ。……零の存在がな。』
そう、零番隊とは極秘の戦闘部隊。護廷十三隊が出来る遥か昔に創られ、その存在が露見した事は無かった。
黎明自身も、まだ零番隊が表に出るのは好ましく無いと判断し、この話を承諾したのだ。
「だから……解散、させるのか…?」
『…嗚呼。』
「そ!…んなの……」
『だが、それはあくまで一時的にだ。』
その言葉に、全員の瞳に期待の色が見えた。
『ほとぼりが冷めるまで一時的に解散させ、噂が消えた頃にまた復活させる。』
「「っホント!? ホントにまた復活するの、隊長!」」
双子が嬉しそうに黎明の腕に抱き着く。
『嗚呼。』
「良かったぁ!」
「ええ、本当に。」
「また復活するなら別に構わねーよ。」
「「うん!」」
全員が納得すると、元柳斎も嬉しそうにする。
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