【黒蝶幻舞】
□第一話
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零番隊が解散して数十年が経った。黎明は言っていた通り男装し、十番隊平隊員の霧夜氷雨として、至って平和に過ごしている。
『おはようございます、日番谷隊長。』
「嗚呼。おはよう、霧夜。」
十番隊隊長である日番谷冬獅郎と挨拶を交わしていると、不意に隊長室の扉が大きな音を立てて開いた。
「おっはよーございまーす!…あら、氷雨じゃない!おはよう!」
後ろを振り向くと、妖艶美女が遅刻したにも関わらず笑顔で挨拶をしてきた。そう、十番隊副隊長の松本乱菊だ。
「松本ォ!今何時だと思っていやがる!」
「隊長…怒ると老けちゃいますよ?」
「おまえは喧嘩売ってんのかッ!」
『……隊長、落ち着いて下さい。…おはようございます、松本副隊長。』
「……乱菊って呼びなさい、氷雨!」
『…?』
いきなり真顔になったかと思えば、いきなりそんな事を言い出す松本。
『…僕は平隊士です。副隊長を名前で呼ぶ事など出来ません。』
「副隊長命令よ〜♪」
断れば職権乱用を用いてくる。
『…あの、松本副隊長。』
「乱菊!」
『……乱菊さん?』
何を言っても聞きそうに無かったので、渋々名前で呼んだ。呼ばれた本人はとても嬉しそうに笑っている。
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