【黒蝶幻舞】

□第七話
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【謹慎・1日目】


さて、どの仕事から片付けようか。まずは玖龍家に帰って、霊王の方の仕事を済ませよう。


『…ただいま。』

「まぁ、お帰りなさいませ!黎明様!」

『嶺羅(れいら)、ただいま。執務室の方はどうなってる?』

「書類でごった返してますよ(苦笑)。」


…やっぱりな。


『そうか…今日は1日執務室に籠って書類を片付けるからな。』

「分かりました。お食事の方はどうなさいます?」

『そうだな…頂くよ。手の空いてる者が運んで来てくれ。』

「はい。」

『…嶺斗(れいと)は元気か?』

「勿論です。黎明様にお会い出来るのを、今か今かと待ち望んでいますよ。」


嶺羅と嶺斗、この2人は兄妹だ。数百年前、まだ2人が幼かった頃にとある貴族に売られそうになっていたのを僕が引き取った。親元まで送り届けようとしたのだが、どうしても僕から離れなかったので、玖龍家で住み込みの女中と警護として雇ったのだ。

今では嶺羅は女中長、嶺斗は警護長として立派に働いている。


『なら良かった。仕事が一段落したら様子を見に行くよ。』

「まぁ!それは喜ぶでしょうね。」


嶺羅との笑談を終わらせて執務室へ向かう。…思ったよりも書類で埋まっていた。


『これは骨が折れるな…まずは仕分けからしないと。』


1時間掛けて仕分けを終わらせ、仕分け毎の書類を2時間掛けて済ませていく。そうして漸く3分の1が終了した時、部屋の外から声が掛かる。


「黎明様、お食事をお持ちしました。」

『ん、ありがとう。』


襖を開けて食事を受け取った。


『相変わらず美味しそうな食事だな。料理長に礼を言っておいてくれ。』

「はい!料理長、泣いて喜びますよ。」


20分程で食事を済ませ、近くを歩いていた女中に空の膳を下げてもらう。その後直ぐに、作業を開始した。

それから5時間程掛けて仕事が終わり、また保管書類と提出書類を仕分ける。それらの書類については書類管理長の淶(らい)に任せる事とする。


さて、こっちの仕事も終わったし…嶺斗の様子でも見に行くか。警護隊の3分の2は現在鍛練場で鍛練をしているらしく、警護長の嶺斗も指導係としてそこに居る。

鍛練場に向かう途中で、久々に会う者達と挨拶を交わしたり、少し世間話をしたりしつつ先へ向かう。


『…よう、嶺斗。』

「黎明様!お帰りなさいませ!」

『嗚呼、ただいま。』


周りの警護隊も同じ様に挨拶してくる。久々に会ったがコイツらも変わらないな。


「黎明様、お仕事はもう終わったのですか?」

『終わったよ。あそこまで溜まってるとは思わなかったが。』

「ははは。」


暫く世間話をして、その後警護隊の鍛錬に付き合ってやった。当然の如く、ボロボロにしてしまったが…。

それでもめげずに「次は負けません!」と、一層鍛錬に励む様になったらしい。負けず嫌いだな。










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