上条当麻と一方通行
□掴めない距離感
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「はぁぁぁぁ〜〜〜、かわいいなー…………」
昨日、上条当麻は一方通行と駅ビルで買い物をした。しかもメールアドレスまでゲットした。
「白くてふわふわな髪でほっそくて………」
月曜日、教室の自分の席で上条は周囲にぽわぽわ花を撒き散らしながら昨日撮ったプリクラを眺めていた。
プリクラに映った上条の顔の横に丸っこい文字で『三下』とかいてある。この文字を一方通行がかいたのだと思うと何か言いようのない高揚感に襲われる。
「こう、睨みをきかしてるのが照れ隠しだったりして……」
言いながらにへらーっと笑う。一人で朝っぱなからにへらにへらしている上条ははたから見るととても怪しく、クラスメートから遠巻きに眺められていた。
「やべーよー、次の日曜日まで待てねぇよちくしょうっ!」
ばたばたと手足を振り回しても何の解決にもならず、上条当麻は一人一方通行への思いをはせる。
「つーかさー。つーかさ、あの一方通行がメールでおやすみとか言うなんて……かわいすぎるだるォォォおおォォオがァっ!」
ダンッと机の上に拳をふりおろす。そろそろクラスメートが本格的に上条の頭を心配し始めているのだが、上条の思考はなかなか外へと向きはしない。
「おやすみーって、一方通行がおやすみーって。ぬぉぉぉぉぉおおおおっ!」
「カミやーん。朝っぱなからどないしたーん」
「おやすみ……………ふふへへへおやすみ…………」
「うわっ、かつてないスルーっぷりになんやゾクゾクするわー」
「ん、へ?あー青髪ピアス?」
なにやら雑音がすると思ったらどうやら青髪ピアスが俺にしゃべりかけていたらしい。
「わりー、俺今お前と話す余裕ないんだほっといてくれないか」
「やー、そうはゆうてもカミやん。さっきから一人でぬおーぬおー騒いどってめっちゃ怪しいで?」
「へ?俺が?」
「かわいいー、とか。アクセラレータァー、とか。なになにかわいい子見つけたん?俺にも教えてほしわぁ」
「誰がてめぇなんかに紹介するかボケ」
「ひどいっ!?いつにも増して今日はひどいでカミやん!」
「いやーだって……すっげぇかわいいんだよこれが」
そういって上条はぴらぴらっとプリクラを振る。
「そんな言われたら気になるわー。見せてーなー」
仕方ないのでプリクラくらい見せてやることにした。上条自身、見せて自慢したかったのかもしれない。
「えーーーーーーーーーーーっと。カミやーん。これ、おとこ?」
「あー……どっちかってーと、そうかな」
「どっちかってーとて、どういうことやそれ!?そんで男がかわいくてしょうがないてどないしたカミやん!?」
ゆっさゆっさと肩を揺さぶられたが上条は
「いやーソイツ、学園都市第一位で能力のせいでホルモンバランスがおかしいとかなんとか聞いた気がする」
「第一位!?レベル5でさらに第一位て!?ちょ、カミやん殺られるで!!」
更に強くゆさゆさゆさゆさ揺さぶられても
「いやーーーーーー。かわいい」
「カミやんがおかしぃなったぁぁぁあーーーーっ!!!!」
青髪ピアスが頭を抱えるだけだった。