上条当麻と一方通行
□アクアリウム
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「え、な、なんで、なんでおまっ!?」
「日本語をちゃんと話してくれませんかねェ、カミジョークン?」
ズボンのポッケに手を突っ込んで気だるげに話す一方通行。先週上条と一緒に駅ナカのビルで買った例のシャツにベスト、黒ネクタイ、黒の(レザーかなんかなのか?)てかてかしたズボンを身に纏っていた。
「え、だってさ、お前さ、まだ30分前だぞ………?」
「…………あっそォかよ。ガキがぎゃんぎゃんうるさかったから早く出てきたダケだ。つぅか、テメェがアレからずっと連絡よこさねェから待ち合わせ時間とか、忘れたッつの」
「あ、いや、それはそのー………………………。だ、だってなんてメールしていいか、わかんねぇじゃん…?」
「……………………フン。……で?答えは出たんですかァ?」
「……聞いてくれるのか?」
「あァ」
別れ際に上条が叫んだ、次までに答えを出してくるということを一方通行はしっかり覚えていたようだ。
おまけにその答えを、聞く前から拒絶するのではなくちゃんと聞いてくれるというのだ。ありがたいったらない。
ばくん、ばくんと一方通行を視界に収めた瞬間から波打つ速度が速くなっていた心臓が、更にその速さを増す。ごくりと唾を嚥下して上条は前を見据え
「俺、は………………さ。ダメなのかもしれないけど、迷惑だろうけどさ、お前が……一方通行が、好きなんだよっ………!」
両手を握りしめて、一方通行に告白した。
キスまでしてしまったし、隠しても無駄というかバレバレというか。
それでも、告白というのは大変勇気がいるもので。全身の血が速攻でぐるぐる回って行く。
「……………………でェ?お前は、俺とどうしたいワケ?」
「っへ?どうしたいって、おまっ、なななにいって」
月曜日に一方通行で抜いてから昨日まで毎日抜き続けたことがバレたかと思って思わずキョドる。
「だからァ、お付き合いさせてくださイとかそういう?」
「え、だって、お前、いいのかよ?」
「…………テメェの好きにしろ」
「っ、じゃ、じゃあ………俺と、付き合ってください」
視線に耐えられなくてぺこりと頭を下げる。下げてから、思い切り踏まれるんじゃないかと思ったのだが
「………………………かまわねェ」
痛みはなく、かわりにぽそっとした呟きが返ってきた。
「ほ、ほんとに、ほんとにいいのか!?」
「っ、うるせェなァッ!イイっつッてンだろがァ。っつかいつまでもこンな炎天下にいたら焼け死ぬから早く行くぞカミジョー」
ついっと先に歩き出す一方通行。それを見た上条は思わず首をかしげて
「うぇ?恋人っつったら普通手とかつないで」
「あンま調子こいてンじゃねェぞ三下ァァァアアア!!!」
ぶんッ!と杖を振り回されたのだった。手を繋ぐのはNGらしい。昼間に外で告らしたくせに。
理不尽だーと呟きながら、一方通行の横に並んで歩くべく上条は小走りで駆け寄って行くのだった。