シェゾがプロポーズ
□シェアル【プロポーズ】
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僕はアルル。闇の魔導師で名を馳せているシェゾ・ウィグィィの恋人である。
でも、最近シェゾの様子がおかしい。
前まではヘンタイという言葉がぴったりなくらい僕にイチャついてきたのに。
もしかして僕に愛想が尽きたのか…?
僕は考えるという行為を遮断するように頭を激しく左右に振る。
こんな暗いことを考えるのをよそう。
僕は自分に言い聞かせ、シェゾの住まいである洞窟へと向かった。
「シェゾー、いる?」
僕は呼びかける。
あるのは静寂のみ。
どうやら留守のようだ。
僕は仕方ない、と思い、買い物にでかけよう。と街に向かう。
街はお洒落な外観をしている。ガラス張りになっているカフェ。色鮮やかなバラたちが飾られているガーデニングショップ。
僕はある店に立ち止まる。
如何にも女の子が好きそうな宝石が施されている結婚指輪、ネックレス…結婚を控えたカップルが立ち入る店だ。
そこで僕はシェゾを見かけた。なにやら胸騒ぎがする。悪い意味で、だ。
シェゾの隣になにやらルルーっぽい人影が見えた。
なにやら必死に物を選んでいるようだ。
というか、これは所謂浮気現場?というヤツなのか?
いや…もしかして僕のプレゼント?
でもシェゾにプレゼントなんて貰ったことなんてない。強いて挙げるなら童貞ぐらいだ。
やはりこれは浮気だ。
詳しくはシェゾとルルーに問い詰めよう。
「ねぇ、シェゾ、ルルー、こんなところで何やってるの?」
「!?アルル…いや、これは…その…」
シェゾはうろたえている。浮気は確定されたも同然だ。
「ちょっと!シェゾ、アルルのためにもハッキリ言いなさいよ!!」
「だぁー!やかましい!ちょっと黙ってろ!脳みそ筋肉女!」
やかましいのはお前だ。と、ツッコミたい所だが、喧嘩になるのでやめておこう。
シェゾはある1つの指輪を精算し、僕を抱えこみテレポートで何処かへ向かう。僕は一体何がなんだか分からなかった。
「ちょっ!シェゾ!?」
テレポートでやってきたのはシェゾの住まいである洞窟だ。
「あのさ、シェゾ、さっきルルーと一緒にいたよね?何してたの?」
僕はできるだけ平常心を保ちながらシェゾに問いかける。
すぐにシェゾは強引に僕を抱き締める。
シェゾの体温を感じる。とても温かい。このまま寝てしまってシェゾと共に一夜を過ごしたい、そう思った。
シェゾは突然僕を抱き締めるのをやめ、僕の数歩距離をとり、頭を下げた。
「すまん、アルル。誤解を招くようなことをして。聞いてくれ、俺は浮気はしていない。」
そう言ってシェゾはポケットから高級感溢れる小箱を取り出した。
小箱を開け、僕にこう言った。
「これは結婚指輪だ。俺は女が好きそうな指輪なんて知らないからな。だからルルーに選ぶのを手伝って貰っていたんだ。」
シェゾは顔を真っ赤に紅潮させている。
浮気ではないことは確かだ。
「だから、俺と結婚してくれ…!」
僕は嬉しくなった。嬉しすぎて涙腺が緩くなる。涙をポロポロ流し精一杯の笑顔を作り、こう答えた。
「よろしく、おねがいします。」
永遠に愛が続いていく…どんな苦悩だって2人で乗り越えて行ける…なんておめでたい事を考えながら
僕はシェゾの胸に飛び込んでいく。