スマブラ

□唇の潤い
1ページ/1ページ






「あらあなた、唇が荒れてるわ」


ふと、トキを見たキアラがそう言った。
指摘されたトキはというと確認するように舌で唇をなぞる。
舌にざらついた感じがした。


「あ、ホントだ。…ガピガピする」

「今の季節乾燥してるからきっと唇が荒れちゃったのよ。

放っておいたら唇が割れて血が出てしまうわ」


キアラはトキの下唇をいたわるように親指でなぞる。
と、彼女はエプロンの胸ポケットからスティックを取り出しトキに差し出す。


「私のリップクリームを貸して上げるわ。どうぞ使って」

「…いいのか?」

「ええ。それに関節キスになって素敵じゃない」


ふふふ、と若干顔を赤らめる妻が可愛らしくて、トキは思わず自身の腕にキアラを閉じ込める。

抱きついて数分後、漸くトキはリップクリームを塗り始めた。


「ふふっ、あなた塗りすぎよ」

「リップクリームなんて普段塗らないんだ。どれくらい塗ればいいなんて分からな…ベタベタする」

「一度拭ったらいいわ」


キアラはハンカチを取り出し、トキに差し出す。
しかしトキは受け取ろうとせず、キアラの唇をジッと見つめる。


「あなた?」


スッとトキの手がキアラの後頭部に回る。
そして、


チュッ


唇と唇が重なった。


「…っ」


触れるだけの口付け。

時が止まったかのように二人はそのまま動かない。


「…ぷはっ」


苦しくなってキアラがトキの胸を押して、漸く唇が離れた。


「もう…イキナリ何するの?」

「んー…、キアラの唇にもリップクリームつければ丁度いいかなと思って。
お陰でいい感じ」

「…もぉ」


キアラは照れ隠しにトキの胸へと顔を埋める。
彼もまた、彼女の背に腕を回し少し力を入れて彼女を抱きしめる。


「…なぁ」

「はい?」

「オレ用のリップクリーム、買ってこなくていいから。
またキミにキスしてもらえばすぐ唇なんて潤うからさ」

「…もお」


チュッ


「!」

「唇が乾燥してなかったら、キスもしてくれないの?」

「…そんなことないっ」


チュッ


「ふっ…」

「うふふ」


顔を見合わせ、二人は小さく笑う。





唇の潤い



おまけ


「あっ、そうか」

「?」

「ここ最近キアラにキスしてなかったから唇が乾燥してたんだな」

「あら、じゃあいっぱいすればプルプルになるかしら?」

「きっとそうさ。だからいっぱいしてくれよ」

「もう…仕方ない人ね」


チュー



「…あーもー」

「わぁ…お父さんとお母さんラブラブしてるー」

「こんなとこでイチャつかないでくれよ…全く…」


双子たちが陰から見てました。





時オカ夫婦はこんな感じ。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ