Sky Of Dream
□始まりの夢
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ある日、目が覚めると私は猫になっていた。
目覚めはいつもと変わらなかった。全く同じように自分のベッドで朝を迎えて、体を起こす。
そこまではいつもと何一つ変わらない朝だった。
しかし、体を起こし、ベッドから出ようとした時に気付いてしまったのだ。
その気付く原因となったことは足が地面につかなかったことだ。
不思議に思った私は、自分の足を見る。
そこにあったものは自分の足ではなく、ふわふわとしている茶色の猫の足だった。
それを見た瞬間、いきなり心臓がとくん、と脈打ったことを感じた。
その時はまだ信じられなかった。自分が猫になっていることなど、信じたくなかった。
しかし、鏡を見た時も自分はまだ人間だと信じることはできなかった。
ベッドのすぐ隣の鏡を恐る恐る覗き込んだ。
そこには、茶色に黒い毛の混じった猫が覗き込むようにしてこっちを見ていた。
一瞬、目が回るような思いがした。
その"猫"と目が合った時、受け入れがたい事実を、受け入れざるを得ないことを押し付けられたような気がした。