緋弾のアリア 無限の力を持つ武貞
□アリアの母親
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バスジャック事件の翌日、俺は右手に果物が入ったバスケットを持って武貞病院に来ていた。昨日、頭を撃たれたアリアがこの病院に運ばれ入院してるからだ。まぁ、怪我自体は額への外傷だけで済んだって病院の先生が言っていた。
アリアの病室はVIP用の個室・・・・・・って、そうだ。アリアはイギリスのあの探偵の『H』の曾孫だったな。ならこの個室にいてもおかしくないか。
「あたしはあんたに期待してたのに・・・・・・現場に連れていけば、またあの時みたいに実力を見せてくれると思ったのに!」
俺はドアをノックしようとして止めた。今の声はアリアだな。中に誰かいるのか?
「お前が俺に勝手に期待したんだろ!俺にそんな実力は無い!それに・・・・もう、俺は武貞をやめるって決めたんだ!何でお前はそんなに勝手なんだよ!?」
この声・・・・・・・キンジか。
「勝手にもなるわよ!私にはもう時間が無い!」
「何だよそれ!意味がわかんねーよ!!」
「武貞なら自分で調べれば!?あたしに・・・・・あたしに比べればあんたの武貞をやめる事情なんて大した事じゃないに決まってるから!」
時間が無い?そーいやあっちにいた時、誰かが『H』家の現状について誰かが言ってたな・・・・・・思い出せねぇ・・・・・・。
「とにかく・・・・・俺はもう武貞をやめるんだ。学校も来年からは一般の高校に移る。」
「・・・・・。」
「おい、聞いてるのか?」
「分かった・・・・・・分かったわよ・・・・・あたしが探してた人は・・・・・・・・あんたじゃなかったんだわ・・・・・・。」
そんな落胆したアリアの声が聞こえた。
その後キンジがドアから出てきそうなので俺は廊下の角に隠れてキンジを見送った。もしもあいつと鉢合わせになったら俺は・・・・・・・・・あいつを殴りかねなかったから。それどころかデストロイモードになってあいつを殺したらやべぇし。
「・・・・・・・。」
俺は再びアリアの病室の前に立つとノックした。
「俺だ、流星だ。」
「入っていいわよ。」
俺はアリアから許可をもらうと病室に入った。アリアは頭を包帯で巻いた状態でベットの上で上半身だけを起こしていた。
「怪我、大丈夫か?」
「医者もだけどあんたも心配性ね。こんなかすり傷、なんて事ないわ。」
なんて事無い・・・・・・か。
「その傷跡、もう消えねぇんだろ?医者から聞いたんだ。」
「傷跡がなんだっていうのよ。別に私は気にしてないし。」
こいつ・・・・・・ホント素直じゃねぇな。気にしてないって言うなら何でパッチン留めで完全に隠してんだよ。
「そんなに元気があるならこいつはいらねぇな。捨てちまってもいいぞ。」
俺がバスケットを見ながら言うと、
「せっかく持ってきてくれたんだからありがたくもらうわ。」
俺は横のテーブルにバスケットを置いて、備えてある椅子に座った。
「ん?このファイル何だ?」
俺はゴミ箱に突っ込んであるファイルを取り出し、ざっと目を通した。
「バスジャックとかの調査報告か。」
「キンジが持ってきたのよ。でもそんな調査結果じゃ武貞殺しは捕まらないわ。」
武貞殺し・・・・・・・。
「あんなのやるのは模倣犯じゃねぇな。でも武貞殺しは捕まったんじゃねぇのか?」
「誤認逮捕なのよ。まだ武貞殺しは捕まってないわ。」
俺はテーブルにファイルを置いて椅子に座った。
「アリアは武貞殺しを捕まえたいのか?」
「武貞殺しだけじゃないけどね。あんまり多く話すと流星にも危険が及ぶから言わないけど。」
危険、か。こいつの言ってる危険と俺のはどっちが上なんだろうな。
「流星はやっぱり本番でも実力を出しきれていた。なのにあの馬鹿キンジは・・・・・・・。」
「キンジだって頑張ってたさ。だから馬鹿とか言うな。」
「ねぇっ!私とパーティ組むか決めた?キンジは役立たずだからもう流星しかいないの。」
パーティ・・・・・・そーいや少し考えるって言ったな。
「俺は・・・・・・・・。」
こいつと組んでまたこいつに怪我をさせない事が出来るか?
「・・・・・・・・俺は。」
今度は本当に死ぬかもしれないのにか?
「・・・・・・・・。」
俺はこいつを守れるのか?
「・・・・・・・俺は、お前とは組めない。」
「・・・・・・そう。」
俺はそう言うと立ち上がった。
「じゃあな。」
俺はそう言って病室から出ようとした。
「私、ロンドンに帰るわ。パートナーが見つからなかった以上、日本にはもういてもしょうがないし。」
・・・・・・・・・・・・。
「・・・・・・そうか。」
俺はドアを開けて病室から出てった。