緋弾のアリア 無限の力を持つ武貞
□武貞殺し
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東京が強風に見回れた週明け、一般科目の授業に出ていた俺の左の席は空席だった。アリアは学校を休むらしい。
「・・・・・・・・。」
アリアの母親・・・・・かなえさんは武貞殺しの容疑者として捕らえられてる。しかも二審まで有罪判決を受けているのだ。おそらく下級裁隔意制度――証拠が十分に揃っている事件について、高裁までを迅速に執り行い、裁判が遅滞しないようにする新制度――を適用されたのだろう。
あと面会室での会話から考えると、アリアの母親の容疑は一連の武貞殺しによる殺人以外にもあるらしい。アリアはその全てを冤罪と断じ、最高裁までに覆そうとしてるんだ。
それとパートナー。
『H』家はみんな、優秀なパートナーを作る事で自らの能力を飛躍的に伸ばし、功績を成してきた。だからアリアもパートナーを見つけたいらしいが、見つからない。まぁ、それもそうか。あんなプライドが高くて子供っぽくて、しかし天才児であるあいつに合わせられる奴なんてそうそういない。
キーンコーンカーンコーン。
「ん?」
そんな事をぼんやり考えてるいつのまにか全ての授業が終わっていた。
「・・・・・・・・。」
キンジはあの後どこかに行ってしまった。俺はする事が無いので寮に向かって歩いていた。
「キンジの奴・・・・・どこ行ったんだ?」
ピリリリリリ・・・・・。
ん?着信音・・・・・キンジか。
「キンジ、お前どこに―――」
『流星、すぐに羽田空港に向かってくれ。』
声が落ち着いてるし低い。ヒステリアモードになってんのか。
「分かった。合流したら状況を説明しろ。」
俺はそれだけを言って電話を切り、走り出した。あいつ、また何かに巻き込まれたのか?と考えながら。