桜が舞い藍が散る
□変わった歴史
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セン華王が亡くなったことが告げられてから少し経った頃。藍州の湖の畔で3人の男と1人の可憐な少女が寛いでいた。
「ねえ、月。もし私が女王になって月を旦那様にしたい。と言ったら月は私の旦那様になってくれる?」
可憐な少女が隣に座っていた、月と呼ばれた男に問いかけた。月と呼ばれた男はニコッと笑うと可憐な少女の問いに答えた。
「姫が私のことを一番に愛していてどうしても必要だと言ってくれたら旦那様になってあげるよ」
月の返答に姫と呼ばれた少女は、陰りのある微笑みを浮かべた。
「そっか。じゃあもし私が女王になったら、私は一生独身ね」
姫がポツリと呟いた言葉にそれまで黙っていた2人の男が口を開いた。
「ならば、私が旦那様になってあげるよ」
「雪には玉華がいるだろう。だから、私が旦那様になってあげるよ」
姫は2人の言葉に少し嬉しそうに微笑んだ。
「ありがとう。でも、2人は駄目よ。雪には玉華がいるし、花には藍家に留まらなければならない理由があるでしょう?」
姫の言葉に3人は驚いた表情を見せた。
「…姫、気づいていたのかい?」
「ええ。一目見た時に気づいたわ」
姫のその言葉に3人の男は苦笑を浮かべた。
「だからずっと、月にだけ旦那様になって。と言っていたのか」
「あら、それは違うわよ?私は、3人の中で月が一番好きなんだもの」
姫の言葉に月は嬉しそうに微笑み、雪と花はしょんぼりとした。
「ありがとう、姫。私も姫のこと好きだよ」
「じゃあ、旦那様になってくれる?」
「それは駄目だよ。姫が私のことを一番だと言ってくれなきゃ」
「月は厳しいわね」
姫が月の間髪入れぬ答えに苦笑しながら答えた。
「でも、どうしても私が必要だと言うのなら、姫の元に駆けつけてあげる」
「ありがとう。じゃあどうしても必要なときには、月に頼るわ」
月の言葉に姫は嬉しそうに微笑みながら、月にもたれかかった。そこへ、人影が近づいてきた。
「三兄に藍華姫。玉姉上が呼んでいる。お茶の時間だそうだ」
近づいてきた人影は、藍本家末っ子の藍龍蓮だった。龍蓮の言葉に姫は嬉しそうに立ち上がると、月も立ち上がり姫をエスコートしながら、屋敷へと戻っていった。その光景を見て、しょんぼりしていた雪と花も慌てて立ち上がり、2人を追いかけていった。