桜が舞い藍が散る
□降臨する新王
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藍華が王に即位する宣言をして幾日か経った頃。
我に帰った重臣たちから非難の声が届いていた。藍華はそれを一掃し、即位の準備を進めていたが、重臣たちは何度も何度も非難の声をあげにくる。
いい加減面倒くさくなった藍華は、重臣のみの会議を開いた。
「確かに、藍華姫様の血は劉輝公子より濃いかもしれませんが、女が王など…」
「過去にいくつか事例があります。問題ないでしょう?」
「しかし……」
「煩いわね。過去の書物の何処にも女が王になってはいけない。などと書いてないわ。別に構わないでしょう。他に意見は?」
「貴女様は幼少期、各州を渡り歩き宮城にいることが少なかった為、存在をあまり知られていません。そんな方が即位したら、民たちは戸惑うでしょう」
「存在を知られてないのなら、知らせればいいのよ。それに、力で指し示せばいいわ。私が王に相応しいと」
重臣たちからあがる様々な文句に一つ一つ丁寧に答えていく。しかし、いくつか目の文句に答えていたとき、藍華の元へと影が時間を知らせに来た。
「もう時間よ。私が異論はないわね?と聞いたとき、貴方たちは何も言わなかったわ。それなのに、今更異論を唱えるなど言語道断。もうこれ以上聞く必要はないわ」
藍華はそう言い残すとその部屋から出て行った。後に残された重臣たちは、苦虫を噛み潰したような顔をしていたのだった。