彩雲国物語

□消え行く間際に (ありがとうの一言を)
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「タンタン!?タンタン!!」

「お嬢、か・・・・・」

蘇芳の声はいつもと同じ覇気のない声。それに対し切羽詰った声を出す秀麗。

「お嬢、俺のことは忘れてさ、幸せになれよ?」

「ッ!何言ってるのよ!タンタン、貴方は生きるの!生きて、ずっと私の隣にいてよ!私、1人じゃ生きていけない!」

「お嬢なら大丈夫だよ。お嬢には支えてくれる人も悲しんでくれる人も沢山いる。だからさ、その人たちの為にも生きて。俺、向こうで待ってるからさ。何もかも成し遂げて俺のもとに来るお嬢のこと、ずっと・・・・・待ってるから、さ・・・・・」

「タンタン!?タンタン!!」

「・・・・・お嬢、今までありがとな。幸せに、なれよ。先に行って、待っ…て、る……」

蘇芳は滅多に浮かべることのない、心からの笑顔を浮かべ事切れた。それを見た秀麗は蘇芳に縋り付き泣きじゃくった。

「タンタン!目を覚まして、タンタン!いつものようにお嬢。って話しかけてよ!?私、タンタンの覇気のない声が大好きなのよ!だから、目を覚まして話しかけてよ!!タンタン!!タンタン!!!!」

いくら秀麗が泣き叫ぼうと蘇芳は二度と目を覚まさなかった。


―消え行く間際に(ありがとうの一言を)―

END
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