桜が舞い藍が散る
□変わった歴史
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藍州から少し時間が経ち、姫が貴陽に帰ってくることを聞いた彼女の幼なじみが貴陽の入口で待ちぼうけしていた。
「…遅い!遅すぎる!あいつは何をしているんだ!!」
彼の鬼のような形相に周りを歩いていた人は、ついそこをよけて歩いた。そこへ、何の迷いもなく彼に向かって走ってくる可憐な少女が現れた。
少女を目に止めた彼は一瞬嬉しそうな表情を浮かべたがすぐに先程までの仏頂面に戻してしまった。
「清雅!!!遅くなってごめんね!」
「全くだ。お前は忙しい俺をどれだけ待たせるつもりなのかと思ったぞ」
「本当にごめんね。コレあげるから許して?」
少女がそういいながら、小さめの包みを清雅に渡した。
「何だコレは?」
「藍州で見つけた髪紐と簪。清雅に似合うと思ってつい買っちゃったの」
少女が微笑みながら、言った言葉に清雅は小さく溜息をつきつつも嬉しそうに微笑んだ。
「そうか、ありがと。だが、これからは無駄遣いすんなよ!」
「えぇ〜!これは無駄遣いじゃないもん!」
「つい買っちゃった。のどこが無駄遣いじゃないんだ?」
「うっ……ごめんなさい」
清雅の隙のない突っ込みに少女は項垂れ、謝った。
「分かったならいい。藍華、おかえり」
項垂れていた藍華は、清雅の言葉を聞くと嬉しそうに微笑み清雅の胸へと飛び込んだ
「うん、ただいま!」