「兄様ー?兄様〜?」
まだ5歳に満たないほどの幼い姫が誰かを必死に探している。姫の探し人は見つからないのか、探し疲れた幼い姫はうずくまって泣き出してしまった。
「うっ……っ……にい、さま…」
「姫、遅くなってごめんね。さあ、遊ば?」
「雪那兄様!!」
「うん。じゃあ、僕は雪月花のうちのだーれだ??」
幼い姫はその質問に迷うことなく答えた。
「月兄様!!」
「…姫はすごいね。僕たちを見分けられるの?」
「ううん、月兄様だけわかるの!」
「そっか。それは嬉しいなぁ」
「姫、月兄様大好き!!」
月は姫の言葉に嬉しそうに微笑むと姫を抱っこして歩き始めたのでした。