短編集
□最初から君を
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私は、ツナ君に恋してる。
でも京子がいるからきっと私の恋は適わない。
知ってる。けど、好きだから…
「とうとう、あの二人付き合い始めたんだってー」
「えー、あの駄目ツナがアイドルの京子ちゃんと?」
聞きたくない。
分かってるから言わないで。
ああ、それでも好きなの…
私は休み時間なのに机に顔を伏せていた。
今にでも泣きそうで誰にも見られたくない…
「おい、」
「…」
「おい、聞いてんのか?」
この声は、きっと獄寺君だ。
いつもいつも相談に乗ってくれた。
――不器用だけど本当は凄く優しくて…
「…うん、聞いてる…」
「お前、失恋したのに泣かねぇのか?」
泣かないよ、
私…失恋してなかった。
最初から君に恋してたの…
「私、獄寺君のこと大好き」
「ばーか、分かってんだよ!」
少し照れたように獄寺君はいった。
その後、ツナ君と京子がいる教室でキスをした。
見せ付けてツナ君と京子より幸せなんだってことを証明してやる!
最初から君を
(その優しさは誰よりも)
(幸せそうだな、獄寺君…俺もいつか京子ちゃんと)