短編集
□君になら言えるよ、好きって
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寂しさを知っている、君の瞳…
瞬いてその色を映すから
小鳥が一匹高く空に飛んだ
君はその瞳で小鳥を追っていた
僕はただ見ているしか出来ない非力だ
「…雲雀さん、どうしたんですか?」
「その小鳥、噛み殺す」
「ふふっ、小鳥に嫉妬なんて可愛いです」
可愛いとかもっと噛み殺したくなる
僕はこんなちっぽけな人間だから、
何も出来ない…考えを狂えさせたのは君
「雲雀さん、自分は小鳥なんて大嫌いです」
「…じゃあ何で君は目で追いかけているの?」
前から分からない行動を取っていつも僕を魅入れる
小鳥から赤い炎が一瞬見えて、煙が濛々と上がった
目を擦ってもう一回見るともう小鳥は焼け死んでいた
小鳥が好きってそんなイメージの子だったのに、
全然違う…この雑食動物はよく分からない
「小鳥は好きですよ?嫌いになってしまうほど」
「日本語喋ってよ、君」
「喋ってますよ!雲雀さんも嫌いです、けど好きです」
そう一言僕に真剣な目でいった
照れる気配もなくただごく普通に、
好きとか、草食動物がよくいう言葉
僕には理解出来ないけど君がいうなら
いい言葉なのかもしれない
君になら言えるよ、好きって