長編
□白昼夢にて、微笑む。
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「う…?」
まず、目に入ったもの。
町外れののどかな景色。
自分の座っているブランコ。
そして。
「だから、聞いてんだろ。」
男の子。
「え…あ、ごめんね。もう一回。」
「聞いてなかったのかよ。」
イライラしているようだ。しかし、壱夜にはわからない。仕方ない、今気がついたのだから。
「おまえはこわくないのかよ?じぶんを見るめが。」
「あぁ…。」
さっきから超展開すぎてついてこなかった頭に、やっと理解できる質問が入ってきた。
昔から考えてきた。皆の視線が語っていた。それを今、目の前の男の子が代弁してくれただけのこと。
それよりも。
「こわくないよ。」
今はそう。
「だって、かんがえてみてよ。」
明日へのかすかな希望に
「だれがわたしをきらったって、ちきゅうはまわってるし、」
酔いしれているのだから。
「なにしたってなにもしなくたってあすはくるんだよ?」
男の子の驚く顔をみた。
男の子の顔が、誰かに似ていた。
だれだっけ、そんなことを考えてると、また景色が眩んだ。
あ、おい! そんな慌てた声を聞きながら。
…気がつけば、電車のなかだった。