●○艶モノ※壱拾八禁※○●
□焦と狂
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【狂】
「……泣いても離しまへんえ?」
妖しげな笑みを浮かべた後、俊太郎さまの手によって、私は瞬く間に身ぐるみ剥がれ、一糸纏わぬ姿になった。
包み隠すもののない肌に、俊太郎さまの唇が休む間もなく降り続ける。
「っ…あの……しゅん、たろうさまも……」
「うん?」
「私だけ……恥ずかしいです……」
「なら、あんさんが脱がして?」
恥ずかしさを堪えながら、俊太郎さまの袴の帯に手をかける。
少し力を入れて引っ張ると、帯はほろりと解け、襟の合わせ目は緩み、そこからちらりと覗いた肌。
それだけで上気してしまう私を、
俊太郎さまはただ艶やかな笑みをたたえ、次の手を待っている。
私は肌蹴た合わせ目から恐る恐る手を入れ、肩から滑り落とすように、俊太郎さまの着物を脱がせた。
すると現れる鍛え上げられた逞しい筋肉質の肉体美は、恐ろしいほどに艶めかしく。
いつもは柔和で穏やかな俊太郎さまと、隠された男らしさのギャップに、身体の奥が熱くなる。
たまらず目を逸らすと、肩を引き寄せられ、触れ合った素肌同士が熱を持つ。
顔を上げられない私の顎を、俊太郎さまの器用な指先が捉え、上向かせる。
「今日は随分と積極的やねぇ?……今宵は厭らしい○○が見られそうや」
重なった唇から、すぐに深まる口付け。
互いを激しく求め合う艶音が座敷に響き渡る。
「お望み通り、狂わせたりまひょ……」
僅かに離れた唇の隙間で危険な瞳が囁くと、俊太郎さまは私を膝立ちにさせた。
自分は座ったまま、片腕に私の腰を引き寄せると、丁度彼の目線ほどの高さに秘部が曝される。
「……めめさんが涎を垂らしとる」
指でそれを絡め取り、糸を引かせながら私の目線の高さまで持ち上げると、
舐めとった指をナカへと進めた。
「はあぁぁ…っ」
彼に触れられれば、どこでも無条件に快楽を呼んでしまいそうになる。
何かを捜すようにゆっくりとナカで動く彼の指。
周りから聞こえてくる三味線の音色や楽しそうな笑い声の中行われている情事に、
より淫情が掻き立てられる。
「……見つけた」
その言葉を合図に、途端に動きを速めた二指が、その箇所を執拗に刺激し始める。
「いやっ!…あっ…なんか…だめ、俊太郎さま!やめてっ!!」
徐々に催したくなる感覚に襲われ、彼の手を止めようと、手を伸ばすけれど、
それは彼の大きな手に両の手首をひとまとめに束ねられてしまう。
「やっ、だめっ!……秋、斉さんに…怒られちゃ…きゃ、っ!」
拘束されていた手首が解放されたかと思うと、
その手は私の悲鳴を口の中に押し戻すように口元を押さえ込む。
直後、こもった悲鳴と共に、私は畳を遠慮なく濡らした。
「色事の最中に、他の男の名を口にするやなんて……わてを妬かせようとしてはるの?」
そう言うと、俊太郎さまは傍にあった数本の徳利を、わざと濡れた畳の上にひっくり返した。
「わてが酔うて酒を零したとでも言わはったらええ」
僅かに怒気を帯びた声。
漂ってくるお酒の香りだけで酔ってしまいそう。
それも相まってか、足腰が立たなくなってしまった私は、その場にへたり込む。
すると、俊太郎さまは脱ぎ散らした私の着物の中から、腰紐を手繰り寄せ、
ひとつ結び目を作ると、それを私の口に咥えさせ、後頭部で縛った。
「…うんんんーんん?」
「他の客にあんさんのよがり声を聞かせるんは忍びない。少し息苦しいかもしれへんけど……
堪忍してや。今日はもう優しゅうはしてやれへん」
そう言うと、彼は私を四つん這いにさせ、性急に押し入る。
その箇所を狙い撃つように刺激され、
一度スイッチの入ってしまった私のカラダは、可笑しいくらいに感じてしまう。
彼を咥えたまま、四方八方に飛び散る液体。
自分の意思ではもうどうすることも出来ず、お酒が零れた程度ではないほどに濡らした畳。
これではもう秋斉さんに言い訳は通用しないだろう。
けれどきっと、それを俊太郎さまも承知の上なのだろうけれど。
幾度も体位を変えながら与え続けられる狂快に、私はくぐもった悲鳴を上げながら、
休む間も無く何度も昇天させられたカラダは、激しく痙攣する。
そして、朦朧とした意識の中、白い靄に包まれながら最奥で熱いものを感じ・・・・
――気付くと、布団の中で俊太郎さまに抱き締められていた。
「っ……俊太郎、さま……?」
彼の方へと視線を上げることすら困難なほど、カラダの芯から感じる倦怠感。
そんな中、やっと捉えた俊太郎さまの顔は、
私の頭を抱え込むように胸元に押し付けた彼によって、すぐに見えなくなってしまった。
「あかん。そないな目ぇでわてを見んといて……。
無気力のあんさんをまた啼かせてしまいそうになる」
答える気力もなくて、私は俊太郎さまの胸元に顔を埋めたまま、大人しくなる。
そんな私の髪をあやすように梳きながら、
俊太郎さまは穏やかな声で、危険に誘う。
「今度は離れの部屋を取りまひょ。
……そん時は、周りを気にせんと、存分に○○のええ啼き声を聞かせておくれやす」
おわり☆ミ