●○艶モノ※壱拾八禁※○●

□モモノハナビラ
1ページ/1ページ

柔らかく、優しい眼差しが、じっとこちらに注がれる。



視線に耐えられなくなって――





「……な、何か変ですか?」



「いえ、よう似合うてはります。
ほんに、かいらしゅうて、一日中見ていても飽きひん。

お雛様が入ってきはったんかと、見紛うほどどした」



「また、そんなこと言って……」




いつもより少しおめかしをした私に、

いつもの調子で俊太郎さまが甘い言葉を囁く。



たったそれだけで、私は頬に熱を集め、

彼と目を合わせることができなくなってしまう。



それが軽口じゃないことを知ってるから。





にやけてしまう顔を隠すため、傍らにあった桃の花に視線を移す。




「……やっぱり、満開にはなってくれなかったみたいで、残念です」




「ああ、桃の花のことどすか?」




俊太郎さまと一緒に眺められたらいいなと思って、

お座敷に、お内裏様とお雛様だけの親王飾りと、

桃の花を飾ってもらったのだけれど……。



今年は例年よりも寒かったせいで、

数えるくらいしか花を咲かせてくれていないかった。

ほとんどの蕾が硬く閉じたまま……。




「……あんさんさえいてくれれば、わては何の問題もありまへん」






さらっと放たれた彼の言葉に、更に頬へ熱が集まる。




開花していた数少ない桃の花びらを、

ひとひら摘み取って盃に乗せ、彼に差し出し、

私は、そこに願いを込めながらお酒を注ぐ。



―俊太郎さまに悪い事が起きませんように―



桃の花には、厄払いや、魔除け、長寿をもたらす力があるらしい。

その花びらを浮かべたお酒は、桃花酒(とうかしゅ)と言って、

邪気を払う力があるという。



彼がそれを花びらごと、くいっと飲み干す。

喉仏が、かくん、とする動きすら、

彼だと美しく見えて、いつもじっと見とれてしまう。



私の密かな楽しみでもある。




「……?」



私の視線に気付いて、

僅かに眉を上げ、ん?という表情をした俊太郎さまに顔を覗きこまれ、

どきり、として慌てて話題を作る。



「お、お雛様って、見ているだけで華やかな気分になりますよね!

でも、それも今日で見納めですね……

寂しいけど、早く片付けないとお嫁に行き遅れちゃいますからね」




照れ隠しに冗談ぽく言う。




「その心配はおまへんよ」




「……え?」




「○○はんのことは、わてが貰いますよって」






盃を傾けながら、こちらへ.殺.人的な流し目をよこす。



一瞬、眩暈を起こしたような感覚に襲われ、思わず視線を逸らす。




……逃げたつもりが逆に追い詰められた……




湯気が出そうなほど体中が熱を持って熱い。




中身を飲み干し、ことん、と盃を置くと……
顔を赤らめてうつむく私の肩をそっと引き寄せ、

耳元で心地の良い低い声が響く。




「○○はん」




「……は、はい……」




「…続き……」




「…つづき……?」




「……しまひょか」




「……へっ?わっ…」




思わず色気のない声を発してしまった次の瞬間には、


体がふわりと浮き…


横抱きにされた私は、隣の部屋へと運ばれた……。


私を抱きかかえたまま、器用に襖を開け、整えられた褥の上にそっと降ろす。




驚きに上手く言葉が出て来ない……。




緊張する私の背を、彼の逞しい腕がしっかりと支え、

しなやかな指先が優しく髪を撫でる。



その心地よさに、少しずつ体の力が抜けていく。




「こないだは、ええとこでオアズケされてしもたさかいなぁ」




妖しげな瞳と目が合うと……




私の顎を軽く持ち上げ上向かせ…優しい口付けを落とす。


一度互いの唇が離れ、熱っぽい視線を絡ませ合うと……



自分から彼の首筋に腕を回し、今度は私から唇を寄せる。

彼の指が私の首裏を撫で……



「…ん…」



甘い声が零れると、つかさず口付けが深まり――




甘い口付けで、他に意識が行かなくなってしまっていたせいか、

いつのまにか私は肌襦袢一枚の姿になっていた。




「ぁ……」




腰紐を解かれ……


彼の悪戯な微笑を最後に、視界を覆われる。






「っ……?」






「これがないと、続きになりまへんやろ?」






一枚の薄い布が肩からはらりと落ち……

そのままゆっくりと押し倒される。




すると…

しゅるりと、もう一つの腰紐を解く衣擦れの音がした。

それを私の手首に巻きつけ、頭上に引き上げる。




「今日は……もっとええ事教えたりまひょ」




……少し力を入れれば、解けてしまうくらいに縛りは緩い。



彼から恥ずかしい部分を隠す事が出来なくなり、

顔から火が出そうなほど恥ずかしい。



だけど…

何故だろう……私は抵抗しなかった……。

まるで催眠術にでもかかったように、私の腕はそこで固まってしまった。





頭上に掲げられたことで、露,わになった二の腕の

ひときは柔らかい肌に、ちゅつ、と口付けを落とす。




「……ぁっ……」




そこから、耳朶を食み、額、頬、鼻先、顎……

最後に顔の一番柔らかいところを啄む。




視界と手を拘束されたせいで、

次に彼が何処に触れるか読めない……



甘くも危険な緊張感に

たったそれだけで熱い息を漏らしてしまった私のその隙間を、

見逃さずに彼の舌が侵入してくる。




「……ん…んんっ……」



互いのものを絡ませ合い、想いを確かめ合うように……

蕩けるような、深い口付けを交す。




艶やかに光る私の唇を、ぺろり、ひと,舐,めしてから、

流れるような動作で、唇が首筋に這う。




「…んはっ……」




軽く触れ、啄み、ねっとりと食み……

様々な刺激を受け、私は自然と首を逸らせながら、

じわじわと心拍数を上げていく。



肩へ、鎖骨へ、徐々に下降してき……





軟い房に辿りつくと、その頂きを目指しさらに下降する。








と……








「あぁッ……」




ちゅぱっ、と音を立ながら花芽を一度軽く吸い上げると、

吸い上げたそれには触れることなく、

彼の舌先が、くるくるとその周りを徘徊する。




一瞬味わった快,楽が恋しいくて……私はもぞもぞと背をくねらせる。




周囲だけを弄ばれ、じれったい……




早くも、とろり、と伝うものを感じて……





我慢が限界に達した頃……







「…っんあぁッ…」




何の前触れもなく、痛いくらいに.硬,直.した花芽を彼が掠め、

突然襲った快,楽に、意図しない大きな声を零してしまう。




「……やっぱり…ここがええの?」




意地悪な声色で言いながら、花芽を□に含み、飴玉を転がすように舌が動く。






「ふぁっ…あっん……」






私は堪え切れなくなった快.楽を声にする。






「今日は、この部屋には、あんさんとわての二人しかおらん」



「あっ……」



「なんも我慢することはあらへんよ」



「はあっ…」



「…感じたままに啼きよし」




そう言って、もう片方の房の頂きを、彼の掌が円を描くように摩擦し、

その刺..激に少しずつ私の思考が痺れてくる。




「…やっ……しゅんたろう、さまっ……」




その手が離れ、内ももに移動すると、

あの日彼の指先が止まった箇所から再び……つーっと指先が這いあがってくる。





「あんさんのかいらしい啼き声を…わてに聞かして……」






「……んはっあ……」






外まで花蜜を染み出させた花弁の際目を

すいっと、指でなぞられただけで、厭らしいほどに反応してしまう。






「…もうこないに溢れさして……」






想像よりも容易に辿り着いたそこに、

ちゅぷつ、となめらかに、滑り込むように彼が入る。






「んあっ」



一本入ると、つかさずもう一本がやってきて、

二本が巧みに動き、湧き出る水とともに,掻き..乱.す。



「ああっ…はっ…だめっっ…」



いつもは私の唇を優しく撫でる彼の親指が、花弁に包まれた核に擦れて

私は体を大きく反らし小刻みに体を震わせながら、

いつもよりも急速に.快..楽の果て.に辿り着いてしまった……。






「……気持ちようなった?」



そう言って、体も思考も痺れて何の反応も出来ない私に、

軽く口付けを落とした彼の唇に、返事をした。




「……そろそろええ?」




まだ余韻が残る十分過ぎる程湿った花弁に、


自身をあてがい、数回腰を落とすと、


私はそれを根元まで呑み込み、彼をきゅっと締め付ける。






「…っはぁ……」




「……っく……○○はん……
初めっからっ…そないしたらあかん……」





初めはゆっくりと……徐々に速度を速めて……

深部をつきあげるように、激しさを増していく……




「…あっあっ…いっ…だめっ、俊太郎さまっ……」



「わても…もうあかん……」






体に制限をかけられた私の中には、


いつもの..快.楽と、得体のしれない何かが相乗効果で良くなり、


狂いそうな程の絶頂を呼ぶ。




「あっ…!俊太郎さまっ…もぅ…だっ、だめぇっ……」






「…っ…○○はん、逝くで……」






「あぁぁっ……!」









――――




ぼんやりとした視界の中、

胸元の違和感と、そこに顔を埋める俊太郎さまが見える。






「俊太郎さま……?」






「……ああ、気づかはった?」






そうして、向けた視線の先には



「……ぁ……」




無数の淡いピンク色の痕……まるで、桃の花びら。





「さっき、言いましたやろ?

桃の花なんて咲いてへんでも、あんさんさえいてくれれば……。

わては季節も問わず、何処ででも満開の花を咲かせられますよって」






「…でも…こんなに……」






「心配はいりまへん。明日の朝には消えとるよう、加減はしましたさかいに」







そう言って、

彼は私を腕に抱いて。

私は、彼が咲かせた一夜限りの桃の花びらを胸に抱いて。

心地よい気怠るさの中、眠りに就いた……。




おわり☆ミ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ