●○艶モノ※壱拾八禁※○●

□仮初めの戯れ
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「まっ…枡屋さん…だめ…」


言葉とは裏腹に未破瓜の小穴は抵抗もなく一番長い真ん中の指を呑み込んだ


「わての指にもだいぶ馴れたようやね」


横抱きにされた膝の上

すっかり覚えてしまったその味を噛み締めるように唇をくっと結ぶ


「ほんに…○○はんは、かいらしい…」


弄ばれているだけとわかっていても

いまは触れられる悦びさえあればいいと思ってしまう



首裏を支える掌に上向かされ戯れに唇を吸われれば

啄ばむだけの浅いそれが切なくて目縁に雫が溜まっていく


「強情やね…」


意地悪く弧を描いた唇が捕食するように齧りついてきて

息苦しさに口を開いてしまったら最後

冷気とともに迎え入れてしまったそれとは真逆の熱いもの

煽動的に口内で暴れる熱で混乱する間もなく思考が利かなくなる


「ぁふっ…ん…っ」


反らした首に押し付けられる湿り気を含んだ温かさと

それが去った跡を撫でていく隙間風の冷たさ

交互に与えられる寒暖が体の深部の熱を上げていく




熱に浮かされとろんと微睡みはじめた意識の中

不意になぶられた耳裏に

おかしな声が出るのはどうにか寸前で堪えたのに・・・


「ここ、ええんや?」

「……」

「ほんなら、もっとしてあげまひょ…」

「何もっ…言ってません…」

「いいや。いま、あんさんの”此処”が教えてくれはったよ…」

「あっ…」


中の指がくくっと曲げられ”此処”が何処なのかを知らされる


「わてを指を きゅっ と切なげに締め付けて……
強情なこの口とは違うて、こっちのお口は素直やね。掻けば掻くほど…ほら…奥から溢れてくる…」

「ちがっ…んっ…」

「この音…聞こえるやろ?」


ぴたぴたぴた と私のソコから鳴る音はもう誤魔化せないほどで

観念し身を任せると満足げな微笑みが囁いた


「ええ娘や」


浅いところで遊んでいた指が つぷっ と根本まで沈み込む


「さ、もっとかいらしい顔を、わてに見せて…」

「あ…やっ…」


弱い一箇所だけを集中的に掻かれ

極限まで高められていた熱が沸騰しはじめる





「…そろそろ、やね」


それを分かっていてまた緩急をつけて焦らすから

私は否応なしに厭らしく大胆にさせられる


「枡屋、さん…」

「…切ないなぁ…」

「いぢっ、わる…っ」

「なにが?ちゃあんとこの強情な口で言うてくれへんと、わからへん」

「…ぃ……たい……」

「うん?聞こえへん」

「イ、きたい…」

「そんな目ぇで言われたら、わてのほうがいけずされてるようや。
もう少し、○○はんの蕩けた顔を見ていたいところやけど…。
……ええよ、ようしてあげまひょ…」


もう一本指が追加され とぷとぷとぷ ねちっこい音が鼓膜を犯す


頂きがすぐそこに迫って

縋るように彼の着物を握り締めながら

その時を待って身を硬くした私の耳に届いた非情な

『合図』


「……あぁ、もう来はったんかいな」

「ぁっ…」


――寸前

悦びを与えてくれるはずの二本は ちゅぽっ とあまりに呆気なく出て行ってしまった


「……ほな」


素っ気ないひと言だけ投げて立ち上がった枡屋さんの背中を息を切らしながら睨みつけた


「っ…ひどい…」

「……そうや。わては酷い男や」


項垂れる私の前に片膝を立て

さっきまで私の中にあった無慈悲な彼の指があやすように顎を擽る


「迷子の仔猫はん。ろくでもない男に手篭めにされる前に、逃げよし」



散々甘やかしておいて

いつも最後には感情のない微笑で突き放す




頬を伝った滴が凍っていくみたいに冷たくて痛い


「ほんっと…………酷い男…」





おわり。

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