●○長篇○●

□三日月エンド
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<三日月エンド―序>



手違いで放り込まれたお座敷で出逢い



甘く 優しく 妖艶でいて 危険な色香を纏う・・・



それなのに 



深い色の 瞳の奥に 孤独と寂しさを隠してる



そんな彼に強く惹かれるものを感じた





彼の二つの顔を知り



彼の背負うものを知り



彼の”影”を知った




彼を知れば知る程 惹き込まれていった・・・・・・





そして





恋に落ちた





彼が長い間過ごしてきた 辛く孤独だった時間




――この優しい人を もう苦しませない――




これからは 私が傍にいてあげる



貴方が失った 幸福の欠片を 



私が一つ一つ拾い集めて 



貴方のぽっかり開いた 心の穴を 



私が埋めてあげる



貴方が お役目に自分のすべてを捧げるように

私は 貴方に私のすべてを捧げる





タイムスリップをした人間が



行動を起こして 歴史を変えてしまうことは



タブーだって聞いた事がある





偶然か必然か



”もしもあの時”が



歴史を変える







だけど・・・・




それでも・・・・・






翔太くんも言ってた



『俺達がここに飛ばされたのも、何か理由があるんじゃないか』



平安時代でもない



戦国時代でもない




この幕末に




私達が来た理由が



きっとある




都合のいい考えかもしれないけど



そう思いたい







何よりも 大切なあの人に





世界で一番 大好きなあの人に







生きて欲しかった





ただ それだけだった







すべては 





”普通” という





最高の幸福のために・・・・・・












――<序> 終
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