浦島花子の徒然なるままに2

□58:スナックお登勢
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(銀時視点)


朝の会話。


『今日の帰りは何時ごろ?』
「わかんねー。神楽と新八連れて行くから、あんまり遅くならない内に帰ってくるわ」
『おっけー。じゃぁ夕飯作って待ってるねぇ』

そう言って、名無しは真選組屯所に、俺たちは依頼人の所へ出掛けていった。



仕事が終わってみれば夜の9時。予定よりだいぶ長引いた。


「お腹空いたアル」
「銀さん何か食べて帰りませんか?」


腹が減ったと煩いガキども。そんなもん、俺だって減ってるわ。
だが、

「真っ直ぐ帰るぞ。名無しが夕飯作るって言ってたからな。今頃腹空かして待ってるに違いねぇ」
「名無しちゃんの料理なら帰ったら別腹で食べるアル」
「この時間じゃ、きっと名無しさんも先に食べてるんじゃないですか?」


それもそうかと納得し、メシを食ってから帰ることにした。



俺は神楽や新八、名無しと生活するにあたって、いくつかルールを決めている。

一つ、家にエロ本を持ち込まない。神楽がいるからな。
一つ、メシは一緒に食べる。これは名無しの為だ。


名無しは一人でメシを食わない。
寂しいからというよりも、習慣に因るところが大きいだろう。

小さいころから常に誰かが家にいたから、誰かと一緒に食事をするのが当たり前だった。
大人になってもその習慣は変わらず、一人で食べることはまずない。


かと言って、名無しは大人しく帰りを待つタイプじゃない。
俺たちの帰りが遅ければ、早々に見切りをつけてどこかへ食いに行くだろう。


「あれ?銀さん、玄関に鍵がかかってますよ。名無しさんは出かけてるみたいですね」


案の定、家に帰ったら名無しはいなかった。
恐らく、行き先はココ、スナックお登勢だ。



ガララ


『いらっしゃいませー!あ、なんだ銀ちゃんか』


エプロン姿の名無し。
どうやら夕飯を食いにきたついでに店の手伝いをしているようだ。




スナックお登勢のメンバーは、お登勢、キャサリン、タマ。
普段はこの三人で店を回しているが、店が忙しい時は名無しも応援に呼ばれる。



「名無しちゃん、焼酎お代わり!」
『はーい、ただいま!』
「こっちも中頂戴!」
『はーい、少しお待ちを〜』


忙しそうだな。まぁ、滞納している家賃分、しっかりと働いてくれたまえ。


客の相手をする名無しを横目にカウンターの隅に腰掛けた。
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