浦島花子の徒然なるままに3

□79:イメージアップ大作戦
1ページ/3ページ

(主人公篇)


『あれぇ?ここの喫茶店、取り壊されてる。昨日まであったのに』


何の前触れもなく建物が取り壊される、なんてことは、ここかぶき町ではよくあることだ。

“かぶき町”、というか“真選組の所轄では”と言った方が正しい。

何故なら犯人は総悟だからだ




*




「名無しちゃん、これを見てくれ」


真剣な顔で胡坐をかく近藤さんが広げた新聞には、案の定、半壊した喫茶店を背にピースで映る総悟の写真。

見出しには“真選組お手柄?!相次ぐやり過ぎの声!”の文字が躍る。


総悟は剣の腕が真選組随一と言われているにも関わらず、メインウェポンとしてバズーカを愛用している。
お陰で攘夷浪士を一人捕まえる度に建物も一軒潰れる始末。


「我々は江戸の平和を思い日々働いているというのに、どうも空回りしていると思わないか?我々の目指す姿と、人々の抱く我々のイメージはかけ離れていく一方」


イメージなんて気にしてたんだ。
ごめん、正直な話、攘夷浪士も真選組も大して変わらないと認識しているよ私は。

でも、目の前で熱く語る近藤さんにそんなことは言えない。


「俺たちが影で何と呼ばれているか、知っているか?」
『チンピラ警察24時』
「正解!そういった、世間で広まる粗野で物騒なイメージを、今こそ払拭すべきではないだろうか」

『え?何で今さら?』

「男臭くてムサい、そんな真選組は過去の話。なぜなら今はこんなに可愛い女隊士がいるんだからな!」
『え?!カワイイって、まさかもしや私の事?!』
「当然だろう。他に誰がいる?」
『ぎゃー!近藤さんっっ!惚れそう!』
「それは困るな、俺にはお妙さんがいる」
『んで?私に何をやらせようってんですか?』
「…バレた?」









駆り出されたのは

“こどもテロ防止教室”。


管轄内の寺子屋に出向き、テロリストの怖さや、出くわした時の対処法について指導する催しだ。
分かりやすく言えば、こども交通安全教室のテロ版。


子供は純粋だからイメージを植え付けやすい。
なおかつ、親の耳に入ればあっという間に評判が上がるという理由でターゲットに決めたはいいが、実際何をしていいのか分からずに私に押し付けてきたのだ。





『んー…もっとこう、カラフルで可愛い感じの方が子供に親しみやすくて良いと思ったんです』
「だからってパトカーにドピンクの花を書くヤツがあるか!」
『土方さん、顔!顔が怖い!子供たちが脅えてますよ!』
「ぐっ…!」



体育館に集められた子供たちの視線が集まる。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ