STAGE GEAR 第三章

□それは、墜ちる感覚
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「おはようぎざいます……」
「おはよ」
眠そうに瞼をこすりながら、ゆらくんがテントから顔を出す。
2、3人の騎士のような人たちが馬に跨ったままこちらに向かってきた。
この世界の人々は、全員美男美女ばかりだ。
もちろん、その中でも上下はあるけど、まだアタシは不細工と呼べる部類の人に会ったことはない。
「はじめまして、私はゴルドウィル王国騎士団、団長のレオ=ウィン=ゴルドレイです。いご、おみしり……おきを―――……」
彼、レオとアタシは視線をあわせた時、お互いに固まった。
この世界の人はみんな美男美女だ。
彼は、その中でもダントツに綺麗でかっこいい容姿だった。
銀髪のサラサラの髪、後ろ髪だけ伸ばして縛って一つに束ねている。体つきは細い方で、長身。西洋の槍を思わせるような印象を与えた。やさしい目つきの綺麗な銀の瞳と金の瞳のオッドアイ。そして、普通の人とは違う少しとがった耳。
それらが、彼の素晴らしい容姿だった。
だけど、アタシが固まったのは、それが理由ではない。
もっと、本能的で運命的なものだ。
心臓が早鐘を打つ。
脳まで心臓になったように、ドックンドックンと体中に響いている。
この世界では、他人の魔力の波長と同調する現象があるらしい。
俗に言う「運命を感じる」というものだわ。
アタシが感じたのは、まさにそれだろう。
レオに……運命を感じた。
一目惚れした。

きっとアタシは最期の最後まで、一緒に生きるだろう。

それを、一瞬で感じてしまったの。
確かな強い決定的なものを。
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