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□兄上様と末姫様
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ぴょん、ぴょん、ぴょん、と跳ねて

前にいるエルロヒアの足にしがみつく

コツ、コツ、コツ、と歩み寄り

エルラダンが抱き上げる


「僕にもハグをしてくれない?」


優しい声色で言われた名無しさんは、クスクスと笑って兄の首に手を回す


「おやおや、最初は僕を選んでくれたのに」

「残念、今日は 僕の勝ち」

「それは聞き捨てならないな」


名無しさんは、僕のものだから、とエルロヒアが手を伸ばすと、嬉しそうに笑って彼の首に手を回す

2人で小さな妹を抱いて、交互に頬に口付けを落とす


「名無しさんは僕と彼と、どっちが好き?」

「僕らは名無しさんの事が大好きだ」


どちらが好きだと問われた名無しさんは

その小さな頭の中で一生懸命考える

どちらもとても好きだもの

どちらかなんて、決めれない


「小さな姫君はお困りのようだ、エルラダン」

「そのようだな、エルロヒア」


ごめんごめん、と謝って

またまた頬に、キスを一つ


「覚えておいて 小さな名無しさん」

「お前が笑うたびに世界は輝く」


不思議そうに首をかしげる名無しさんは

ほんとに、ほんとうに可愛らしい


「…ずっとこうしていたいけど」

「…ごめんね、僕らは行かなくちゃ」


名無しさんを、そっと歩み寄ったアルウェンに引き渡し



― 行って来る ―



カッカッカ、と足音高く

2人のエルフは出て行った

後に残るは、乙女のエルフと幼きエルフ


勇ましき、兄らの姿をその目に映し

彼女は何を 思うだろう




名無しさんが生きる世界のために

僕らは今日も 敵を討つ
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