05/02の日記

23:46
エオメル
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マイペース放浪薬師


夜も大分ふけたというのに、灯りが灯る部屋が一つ。

「まだ起きていたのか」

エオメルが部屋を覗くと、二月ほど前から滞在している薬師がいた

「エオメル殿!いかがされましたか?」

こちらに気付くと、表情を和げた

「いかがしたかではない、夜中までこそこそ何かしている輩がいるから見にきただけだ」

「まぁ、それは申し訳ございません。少し仕事に精を出しすぎていたようで…」

少し困ったように頬をかいて、「すぐに片付けます」と広げていた書物をしまい始めた

ちら、とエオメルがその書物を覗くと、見たことがない植物の絵の数々

「随分と熱心な」

手に取り、ページを捲る

「この辺りでは見かけない植物ばかり載っておりまして、いつか探しにいけたらと思うのですが」

そう答える彼女の声を聞きながら、ふとあるページの花に目を留めた

「これは……見たことがあるぞ」

「どれでございますか?…まぁ、これを?エオメル殿、どちらで?」

「ここから大分離れてはいるが、確か…」

うーん、と遠い記憶を手繰り寄せるエオメルと、キラキラとした顔で彼の回答を待つ彼女

「そうだ、ここから南でその一群を見た。見たことがない色の花だったから、記憶に残っていたのだ」

「あぁ、本当ですか!?是非見たい、そして手に入れたい…!エオメル殿、私明日から旅に出ます!」

「そなた馬には乗れぬだろう」

「はい!なので徒歩で!」

「馬鹿な、馬を走らせ続けても2日はかかる場所だ。あきらめ…」

あきらめろ、と言いかけたが、少し眉尻を下げて悲しそうにする顔を見て、止めた。

「…連れて行ってやろうか?」

ふと、気付けばそう尋ねていた

「良いのですか??」

「どの道、そこ辺りまで見回りをせねばならん。近日中には隊に加えてやろう」

「流石エオメル殿、お優しい!!」

本当は、二人で遠駆けしてみたいと思ったのだが、それは到底無理な話で



「お日和ですね〜」

一団の中。キャッキャとはしゃぐ彼女を自分の馬に乗せ、エオメルは満足げに頷いた。

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