05/03の日記
22:36
ボロミア
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城の従者的な
「ボロミア様」
少し困惑したような顔をして、彼女が近づいてきた。
「どうした?」
「どうしたではございません、何故裂け谷へ…」
「父上の代わりだ、不服か?」
「不服云々ではございませぬ、何故ファラミア様を置いて行かれるのですか」
「…それは仕方あるまい。我ら兄弟二人ともがこの地を離れるわけには行かんだろう」
「ですが、それではファラミア様が…」
尚も食い下がろうとする彼女の言葉を、手で遮るようにして止めた
「俺の心配より、ファラミアか」
自分でも驚くほど低く冷たい声が出た
「…勿論、ボロミア様のことが心配ゆえ…申し訳ございません…」
「…明日明朝には発つ。それ以降はファラミアの指示に従え、下がっていいぞ」
「承知いたしました…」
背中で、扉が閉まる音を聞く
「……俺も、つくづく馬鹿だな」
彼女にこそ、笑って見送ってほしいのに。
(戻ったら、一度落ち着いて話でもしよう)
多分、俺は好いているから。
ぼやける視界
何も見えず
震える声で、最期に彼女の名前を口にする
「 」
最期に、一眼会いたかった
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