金田一 short

□死神と傀儡師の輪舞
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「いやぁ〜、終わった終わった!北海道から帰ってくるだけで疲れるなぁ!」

霧島は疲労を吐き出すようにリビングのソファに突っ伏した。

「それにしてもあの金田一っつー餓鬼、マジでムカつくなぁ。またやられたぜ…。」

ソファにあるクッションに頭をグリグリと擦り付け、忌々し気に言葉を吐く。疲れでその目は半開きで眠たそうだ。

同じように疲れているであろう高遠も、部屋に入るや否やすぐにスーツのジャケットを脱いで楽な格好になる。
羽織っている上着を片付けずにソファに突っ伏した霧島とその行動は対称的だ。

「霧島、私は今夜少し外します。」

「え〜!?お前も長旅で疲れただろー?帰ってきて早々何処か行くのか?」

仕込みで一週間前に前乗り、本番3日間、遠回りしたから帰りで2日…と霧島はこの旅の日数を数える。

世間で有名な『犯罪コーディネーター』の高遠と霧島はその『仕事』故、2人で全国を巡ることが多い。
今回は場所も北海道という遠場であった為、およそ2週間程日数を取られていたのだ。
確かに霧島の言う通り、疲労は溜まっているはずだ。

「出掛けるのは夜ですからそれまではここで休憩しますよ。流石に私も疲れました。」
「ふ〜ん…そっかぁ。まぁ、倒れない程度にな。…で、どこ行くの?」
「…次の仕込みのための準備ですよ…。」
「ふ〜ん……お仕事熱心だこと。」

そう言ってソファの上でゴロゴロと身体を動かす霧島を横目に高遠はシャワールームへと足を運ぶ。

「………。」

シャワールームへと消える高遠の後ろ姿を見つめながら霧島はニヤリと不敵な顔で笑った。

「…俺も疲れてるんだけどなぁ。でも……動くなら今日かな。」

1人、ニヤニヤと人の悪い笑みを浮かべながら霧島は今日起こる楽しいことを想像した。

一方の高遠は長旅の疲れを落とすためにシャワーを浴びていた。

「…2週間ぶりか…。」

心の中で呟き、自分を待っているであろうある女性に想いを馳せた。
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