金田一 short
□rose bathtime
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「ずるいずるい。薔薇十字館そのものも羨ましいのに、薔薇風呂なんて…!そんな贅沢なお風呂入ったことない…。」
「…薔薇風呂に入りたいんですか?」
「そうですよ!私が薔薇好きなの知ってるでしょう?」
ばふばふとクッションに軽く頭を埋めながら春葉は、駄々をこねる子どものようだった。
普段の彼女があまり見せない、子どもっぽい仕草に思わず笑いが込み上げた。
「そう怒らないでください。さ、もう夜も遅いですから寝ましょう。」
「そうやっていつもはぐらかす…。」
「眠れないというなら、無理矢理寝かせて差し上げても良いんですよ?」
意地の悪い笑みを浮かべる高遠は、やたらと丁寧な言葉を使う。
そう言うときは大抵春葉にとって碌なことを考えていないことが多い。
「…寝ます。明日も仕事があるので…。」
「はいはい。おやすみなさい。」
そう言って高遠は春葉の頬に軽くキスを贈った。