金田一 short
□lesson of the night
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「今日、上になってもらえませんか?」
「………上って…?」
まさか。
「騎上位。」
「…………無理です。」
思わず固まる。
が、直ぐに硬直を解いて否定の言葉を紡ぐ。あからさまな言葉に一瞬その体位を想像して顔に熱が集まる。
「検討の余地なく却下とは酷いですねぇ…。」
「検討しました。2秒くらい。」
あまり高遠からお願いなんてされたことがないため、新鮮な感じがする。
これがもっと別の違うものだったらきっと快諾してただろうに。
だが今彼がさらっと要求したことはこんな場面でないと会話にあがってこないようなもので。
確かにちゃんと考えた。
しかし、その言葉が一体どういうことをするものなのか知識の上では知っていたが、今まで高遠との交わりの中でそんなことをしたことは1度もないのだ。
というよりも、そんなことをしたら恥ずかしさで死んでしまう。
「そんなこと言わずに。お願いします、春葉。見てみたいんですよ。貴方が自分から私の上に乗って、その上で乱れるの。」
「そんな風に言うから余計にやりたくなくなるんです!」
「……そうですか。残念です…。」
もう少し粘るかと思った高遠は意外にもあっさりと引き下がった。少し面食らった気分だ。
「それでは寝ますか。」
「…え?」
「おや?してくれる気になりましたか?」
高遠はくすっと唇に人差し指を当てて意地悪く微笑んでいる。
「…そ、そんなことないです…!」
その余裕の笑みに思わず反抗心が生まれ、否定の言葉を吐いてしまうのだが、わだかまりが残る。