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□お姫様と背景
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「こんにちはー。野崎くん、遅くなってごめんね」
「紫姫!お前も手伝ってくれ!」
「へ…?堀先輩?」
それから先輩から話を聞くと、野崎くんはどうやらマミコと鈴木くんの位置関係が上手く想像出来なくてよく二人の席の位置が変わっていたりするらしい。
それで場所確認が出来るように物を置いてみたもののそれも上手く行かないでいた。という所に私がやって来たみたいだった。
「せめて人間なら想像しやすいんですけど」
「あっ!じゃあ人形なんてどう?」
「なるほど!じゃあ鈴木のモデルはこのオサムくんを使おう」
そう言って野崎くんが出したのは一体の人形だった。
「おー、いい感じじゃねぇか」
「でもこれ一体だけじゃ足りなくないかな…?大丈夫?」
「確かにな…あとマミコと女Aと男Bの分も欲しいな…」
うーん…漫画家さんとは言え普通男子高生の家に人形が何体もありはしないよね…。
デッサン人形とかはあるかもだけど足りるのかなぁ…。
「ちょっと待っててくれ」
野崎くんは部屋を出て少しすると戻って来て…その手には何かを持って来ているようだった。
「よし、これでいいだろう!」
最初に置かれた鈴木くんのモデルの人形の周りには、水着姿の女の子の人形が並べられた。
「(何だこの鈴木ハーレム!!)」
「…人形持ってたんだ…しかも水着の女の子の…」
「…紫姫ちゃん、小さい声で言うとちょっとあれかな…」
「だって!想像してなかったんだもん!野崎くんの趣味とか…!」
「いや、これはアシスタントのコレクションだ。ちょっと借りてみた」
「ぁ…そういう事かぁ…」
「紫姫は嫌なのか?こういう人形持ってる男とか」
「うぅーん…嫌、っていう訳ではないですけど…先にそういうのが好きって聞かずにいきなり出されるとびっくりします…」
「じゃ、じゃあ男の子でも先に趣味を聞いていれば紫姫ちゃんはこういう人形出されても受け入れられる!?」
「多分…聞いてれば大丈夫かな…?ただその趣味を押し付けられちゃうと困っちゃうだろうけど」
「そっか!よかった!」
「え?よかったって?」
「う、ううん!何でもないよ!」
「?そっかぁ」
「(みこりんと紫姫ちゃんは仲良いみたいだし…趣味で引かれたりしないならみこりんもちょっとは安心だよね…?今度一応言っておこうかな)」
「おかげでちゃんと描けたぞ」
「よかったね野崎くん!」
「大丈夫だとは思うけど一応見せてみろ」
そして千代ちゃん、堀先輩、私で野崎くんの描いた原稿を見始めた。
あ、位置関係合ってるしこれなら大丈夫みたいだね。
「…っえ」
「野崎ぃ!!!」
そう思ったけど、鈴木くん以外の3人の登場キャラが顔以外全部水着の女の子の人形と全く同じになっていた。
「こ、れは…ちょっと…」
「しっかり見て描いたらこうなっていたみたいだな」
「何冷静に状況分析してんだよ!!描き直しだ!!!」
それから堀先輩に怒られた野崎くんは原稿を描き直す事になった。
「…ちょっと部屋帰るね。すぐ戻るから!」
その間に部屋から道具を持って来て、野崎くんの原稿を待っている間私は私で作業を始めた。
ちなみに堀先輩も何かをしているようだった。
「…うん、これでいいかな。野崎くん、ちょっと人形借りていいかな?」
「ああ」
それから人形を借りて、作ったものを合わせてみた。
「うん、大丈夫そうだね」
「うわぁー…!!人形のお洋服だぁ…!紫姫ちゃん凄いね!流石演劇部の衣装係っ!」
「細かくは作ってないからそこまで大変じゃなかったよ。
ただ男子生徒Bの洋服はまだだけど…」
「いや、男Bのは別の人形を探しておく」
「そう?」
「ああ」
「じゃああと1着、女の子の洋服作っておくね」
「ありがとう、紫姫」
「ふふ、いいえー」
「紫姫ちゃん凄いねー…手の動きが早いもん…」
「あはは。こういうのは慣れだよ。
それに私、友達に頼まれてコスプレ用の衣装とかも作ってたから制服とかは意外と作り慣れてるの。見えない所でしっかり手も抜いてるしね」
「よし。野崎、ついでに机作ってやったからこれ見てどうにかしろよ」
「おぉーっ!!流石演劇部大道具!
堀先輩と紫姫ちゃんがいれば色々作れちゃうね!」
「ん?紫姫も何か作ったのか?」
「この人形の服を作ってもらいました」
「へー…お前こんな小さいものまで作れんのか?」
「はい。あ、でも見た目は普通ですけど見えない所は結構ぐちゃぐちゃなのであんまり見ないで下さいね」
「ぐちゃぐちゃなの?」
「糸の結び目とか裏側にごちゃっと集めただけであんまり切ってないからねー…。
あと制服のボタンも表に付けただけで留めたりする事も出来ないし」
「いや、短時間でこんだけ出来りゃ十分だと思うぞ」
「ふふふー…ありがとうございます!」
「でも何でお洋服作ったの?」
「だって野崎くん、水着の子の体描くんだもん…」
「ああ…」
それから私達はその日は帰る事にした。
ちなみにもう1着の洋服は完成しなかったので翌日野崎くんに渡しておいた。
「紫姫ちゃん…」
「千代ちゃん!どうしたの?何か疲れてるみたいだけど…」
「あのね…この間の人形の件で…」
「え?また何か問題起きたの?」
そう尋ねると千代ちゃんは携帯の画像を見せてくれた。
「…ドールハウス?これ千代ちゃんの?」
「違うの!この間からもう一人のアシスタントさんと堀先輩が色々作ったりして最初は机だけだったのにこんな立派な家になっちゃったの…!!」
「え、これ先輩達の作品なの!?」
「うん…」
最近はお姉ちゃんの手伝いしててアシスタントに行ってなかったから知らなかったけど…いつの間にこんななってたんだろう…。
「えっと…じゃあ今日部活もあるしほどほどにするように先輩に言っておくね…?」
「ありがとう紫姫ちゃん…!!」
「いいえー。じゃあまたね」
「うんっ!」
それから千代ちゃんと別れて部室に向かうとすでに堀先輩が何かを作っていた。
それをよく見ると…
「小さい家具…!」
「紫姫。早いな」
「こんにちは。…堀先輩、本来の目的は果たせましたしお家作りもほどほどにして下さいね…?」
「ああ。今作ってるので最後にすっから」
よかった…先輩も自分でやり過ぎてる事に気付いたのかな。
「作りたかったものは大体作ったからな。これで最後だ」
…どうしよう。ただ単に趣味だったのかも…!
「せっ…先輩!人形遊びが趣味なんですか!?」
「はぁ!?ちげぇよ!!」
何だよ急に…なんてぶつくさと続ける堀先輩への見方が何だか変わりそうな予感です…。
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書いたはいいけどこのヒロインちゃんの裁縫スキル半端ないですね(笑)←
でも漫画でもみこりんが来た時には服着てる人形がいたから新しく買ったんじゃなく彼女が作ってたらいいな、って思っちゃったんです…!
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