花の妖精
□呪われた島
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『え?S級クエストの依頼書がなくなった?』
僕とミスティーがギルドに来るとミラが慌てた様子でそのことを伝えにきた。
「────ネコだ。羽の生えた猫がちぎって行くのを見たぜ」
『ネコ?』
このギルドでネコと言えばミスティーとハッピーだ。
けど、ミスティーは昨日ってか、基本僕から離れない。しかも昨日はギルドから家に帰るまでずっと寝てたんだ。
と言うことは、
『ハッピー……。ナツにルーシィか』
なんてバカなことを……。どうせ昨日のラクサスとのやり取りでS級クエストを成功させれば、自分もS級にとでも思ってんのか?
クエストを成功させたとしても、破門だ。
しかも、素人がS級なんて……。死ににいくつもりか。
「マズイのォ、消えた依頼書は?」
「呪われた島、ガルナです」
『はぁ!?それ、僕が行こうとしてたやつじゃん!!』
ガタッ、と音を立てて思わず立ってしまった。
『依頼、まだ受理してないよね!?』
「ああ、それはまだじゃが……。まさかガルナとは……」
受理がまだなら途中で引き返してくるはず──だと思いたい。いや、んー……。
「ラクサス!連れ戻してこい!」
「ジョーダン。俺はこれから仕事なんだ。自分のケツも拭けねぇ魔導士はこのギルドにいねぇ……だろ?」
「今ここにいるなかで、お前以外誰がナツを力ずくで連れてこれる!?」
────ガタッ、
「じーさん。それは聞き捨てならねぇな」
「グレイ……」
グレイは立つと僕の手を掴み、外へ出ようとした。
、