memory.
□1
1ページ/14ページ
目を開けると、あたしは知らない場所に立っていた。
辺りは暗くて、何も見えない。
『どこ……?』
辺りを見回すが、誰もいない。ただ暗いだけ。
どうしよう、と思った時、人影が見えた。
人影が露になり、男の人だった。
亜麻色の髪の男の人。黒い服を着ている。
「君はこちら側の人間だ」
男の人が喋る。
そしてあたしに向かって手を差し伸べてきた。
「さぁ、おいで───────まひろ」
────────
─────
───
─
『─────んっ、』
次に目を開けるといつもの見慣れた天井が見えた。
『夢………。何だったんだろう………』
あの夢、少し怖かった。あの男の人も怖かった。
────「さぁ、おいで──────まひろ」
『っ!?』
あたしは思わず起き上がり、自分の身体を抱きしめる。
前にもこんな夢を見た気がする………。
あの人は誰なんだろう……。
そんなことを考えていると、襖越しに声をかけられた。
『弓親。起きてる』
あたしがそう言うと襖が開けられた。
、