声が男の女子が箱学で騒ぎます
□やっぱり来たか…
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私のクラスに一人の女子が乗り込んできた。たぶん東堂か新開のファンだろう。また面倒なことになった。
「ちょっと林名無しさんさん呼んでもらえるかしら」
話し方からしてお高くとまった感じの子だよなぁ。たまーにいるんだよね。中学までお嬢さま学校にいて高校からこの箱学に来る子。ロードレースで東堂やらに魅了された子だったりするわけだ。親の反対を押し切ってまでこの箱学にくる熱狂的なファン。
「えーと…はい。ども。林名無しさんです。」
この子に限ったことではないがたまにいるんだ。私に啖呵を切ってくる子。私に罪はない。絡んでくるアイツらが悪い。そう!私は悪くない!
「単刀直入に言います。アナタは東堂サマと付き合っていらっしゃるの?」
「東堂かァァァァァァァァァ!!!!」
そうか、そっちか。最近アイツと絡んだ覚えないんだけどな。むしろ新開撮の方が絡んでる気がするが。まあ、何であれこの場を治めねば…。
「東堂!東堂呼んで来い!」
「残念だったな、東堂は今便所ダヨ。廊下に出るついでにファンサービスでもしてんじゃナイ?」
荒北が面白おかしそうに答えた。クソ…肝心な時に役にたたねえ奴…。
「えーと…付き合ってないから!!アレと付き合う気はないから!」
「そんなのどうやって信じろって言うんです?私は見たわ!東堂サマとアナタが並んで楽しそうに歩いているところを!!」
…ああ、あれか。
いつも私は男ものの服しか着ない。というか着れない。身長も体格も似てる東堂に服を選んでもらおうと思って一緒に出掛けたのだ。もちろん二人きりとかじゃない。そんなデートみたいなことはしない。新開も連れていった。だが新開は甘党だ。甘党なのだ。彼はスイーツの方へ消えてしまったのだ。
結果的に二人きり…と。
そこをよりにもよってファン(過激派)に見られた…と。
「新開イイイイイイイイイ!!!!テメーのせいだアアアア!!!」
お前がどっか行かなきゃこうはならなかった。クソゥ…、しくったな。
「ああ、君。ええっと…二宮林檎(ニノミヤリンゴ)ちゃん?前東堂の応援に来てた子だね。」
「うぉっ!?新開知ってんのか、この子」
「まあな」
いつの間にか私の後ろに立った新開が話に割り込んだ。そして後ろから私に抱きついた。なんで恋人的ポジションについてんだよお前。どうせ面白そうだからとかでファンの相手をさせようとしてやがるんだろうな。
「アナタ…東堂サマだけじゃ飽き足らず新開くんまで…!」
二宮林檎ちゃんは目をカッと見開いた。可愛い顔が台無しだぞ、おい。頼むから泣くとかやめてくれよ…。
「おお、林檎さんじゃないか!」
「えっ…東堂サマ?!」
泣きそうな目で睨まれて十数秒たつと東堂がトイレから帰ってきた。荒北の言う通りファンサービスでもしてきたんだろう。
「やっと来たな。遅いよ、アホ」
「む?なんで名無しさんは隼人に抱きつかれているんだ?」
「それはいいから…。てか新開離せよ暑い」
「やーだ♡」
やだじゃねえよ…、東堂のファンの次はお前のファン相手しなきゃならんだろうが。勘弁してくれよ。
「と、東堂サマ…!林名無しさんさんとはどういう関係で?」
「どうもこうも…」
こういう関係だ、と新開のように私に抱きつく。うっ…重い…。お前らは何でいつも恋人的ポジションなんだよ…もういいよ…。
「あ、あの林檎ちゃ…て重いわ離れろオオオオオ!!!…ああ、もういいや。私の外見と声を見てもらえば分かると思うんだけど、コイツら私を女として見てないからさ。
決してコイツらと付き合う気もなけりゃ好きとかいう感情もないから。安心して?というかコイツら私に対する嫌がらせでしかないから!」
「そういう事だよ、林檎ちゃん」
バキュンと新開が二宮林檎ちゃんの胸を打った。すると二宮林檎ちゃんの顔がみるみる赤く染まっていく。もしかしてだけど…
「す、すみませんでした新開サマあああ!」
そう言って彼女は自分のクラスに戻っていってしまった。くんからサマになったぞ。
「あーあ、隼人にファンを取られてしまったな。」
東堂はそう言いながらも楽しかった、といったような顔をしている。新開はファンをゲットし、さらに面白いのものを見れたことに満足そうな顔をして笑った。犠牲者は私だけか…
「鬼とナルシエロ目の馬鹿ァァァァァァァ!!!傍からみたらBのLだよォォォォォォ!!!」
私は荒北の胸に飛び込んだ。この優しいファーファの匂いが大好きだ。
「ファファ北最高」
「お疲れさん。あと変な名前つけんなバァカ。」
そう言って荒北は私の頭を撫でてくれた。