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□頼み
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ユーヤは欠伸をしながらエントランスのソファに座っていた。第一部隊のメンバーである、ソーマ、リンドウ、サクヤ、コウタもエントランスに集まっている。ツバキに朝早くから呼び出しをされたのだ。朝早いとだけあって人は少ない。ユーヤは体が前後に揺れている。いつ寝てもおかしくない。ソーマは肩を揺らし、起こす。
「ユーヤ、起きろ」
「眠い。部屋に帰る…」
「まだ待って5分しか立ってないだろ。もう少し我慢しろ、な?」
リンドウも一緒になって起こす。だが、ユーヤの目は閉じようとしている。このままでは本当に寝てしまうと、コウタは興味が湧くような話をしだした。
「って言っても、なんで俺たち呼ばれたのかな?」
「ロシア支部から新型の新人が来るらしいわ」
「新人っ!?女の子だったらいいなぁ〜」
コウタがちらりとユーヤの様子を伺うが、効果は今ひとつのようだ。早くきてくれと願うと、願いが通じたのかツバキと女の子がユーヤたちの目の前にやってきた。女の子はコウタと同い年くらいだろうか、あどけなさが少し残っている。リンドウとソーマはユーヤを無理やり立たせた。
「紹介するぞ。今日からお前たちの仲間になる新型の適合者だ」
「初めまして。アリサ・イリーニチナ・アミエーラと申します。本日一一〇〇より、ロシア支部からこちらの極東支部に配属されました。よろしくお願いします」
アリサの自己紹介にコウタは笑顔で歓迎する。
「女の子ならいつでも大歓迎だよ!」
だが、それをアリサは冷たい目で見下すかのように言葉を吐いた。
「よくそんな浮わついた考えで、ここまで生きながらえてこられましたね」
「…へ?」
驚いた顔で固まったコウタに向かい、ツバキは言葉を重ねる。
「彼女は実戦経験こそ少ないものの、演習では特に高い成績を収めている。追い抜かれないように精進するんだな」
「り、了解です」
畳み掛けられたコウタはあからさまに落ち込んでいた。サクヤはそんなコウタを見て苦笑いをしている。印象的な新人の今後について、ツバキは指示を出した。
「アリサは以後、リンドウについて行動するように」
「了解しました」
「リンドウ、資料等の引き継ぎがある。後で私と来るように。他の者は持ち場に戻れ。以上だ」
ツバキがリンドウと一緒にその場を離れるとコウタは早速アリサを質問攻めしていた。新人同士が会話をしているのを見て、ユーヤはそそくさとエレベーターへ足を進める。
「俺、二度寝してくる」
「ユーヤは今から俺とミッションだろ」
「ソーマ1人でも大丈夫。俺は寝る」
「ダメだ。ほら、行くぞ」
「やー…ベッド…」
ソーマに引きずられながら出撃ゲートをくぐるユーヤを手を振りながら見送るサクヤと、それを見慣れない様子で見つめるコウタとアリサ。アナグラとっては、たまにみる光景となっていた。
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