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□コウタとの合同任務
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オウガテイル5体が運よく、単体行動をしている。実地訓練は3回目らしく、コウタは少し落ち着いている様子だ。
「コウタは後ろで援護。俺が陽動するからユーヤは状況に応じて遊撃しろ」
「はーい!」
「わかった」
「行くぞ」
ソーマはオウガテイルに向かって突っ込んでいった。ユーヤは、コウタの後ろで神機を構えて待機。コウタは射程圏内に入り、オウガテイルを迎え撃っている。ほとんど外さず、誤射は全くない。唯一弱点があるとしたら…。
「コウタ。後ろからオウガテイル一体来てるぞ」
「うわぁ!」
視野が狭いこと。それを除けば、優秀な狙撃者だ。ユーヤはコウタに向かってくるオウガテイルをねじ伏せる。体重をかけて上から叩き斬ったつもりだが、ソーマのように一発では怯まない。追加でもう一発、横から斬りかかる。やはり、パワー系は向いてないなと感じた。
「あ、ありがとう」
「気を抜くな、コウタ」
その後は何事もなく、無事にミッションを終えることができた。今回のミッションを持って、コウタの訓練は終わるという。軍用機に乗りアナグラに戻ると、入り口でミッション帰りのサクヤとリンドウに出会った。面識のあるコウタは大きく手を振りながら声をかける。
「あれ?サクヤさんとリンドウさんじゃないですか!」
「おー、そっちも終わったのか。お疲れさん」
「二人でミッションに行ってたのか?」
「いいえ、別々よ。偶然帰りが一緒になったの」
レアなコアを持っているリンドウを見たソーマは、口を開く。
「リンドウはまたアイツか」
「まぁな。元気がいい女の子だったぜ」
「リンドウさん、もしかしてデートだったんスか!?俺にも紹介してくださいよー!」
「紹介してやってもいいが、お前には手には終えないと思うぞ」
エレベーターに乗るためエントランスに向かうと、アナグラはざわついていた。自然と会話が耳に入ってくる。
「ウロヴォロスのコアを剥離成功したやつがいるらしいぜ!」
「ボーナスすげぇんだろうな…なにか奢ってもらおうぜ」
「やめときなさいよ。みっともない…」
ウロヴォロスという言葉を中心に話が飛び交う。コウタはその言葉に首を傾げた。
「ウロヴォロスって…何?強いの?」
「ターミナル調べりゃ出てくるだろ。たまには自分で調べろ」
「そうね…四人で行っても無理じゃないかな」
「そんなにも!?」
「少なくとも一人二人は死人が出る」
物騒な言葉をユーヤが吐く。コウタはその言葉に絶句をした。ミッション中に誰かが死ぬなんて、入ってきたばかりの今は考えられないだろう。リンドウは空気を変えようと喋り出した。
「ま、生き延びてればそのうち倒せるだろ。今は余計なことを考えず、とにかく死なないことだけを考えろ」
「その台詞、いい加減聞き飽きたぜ」
「おー、特にソーマとユーヤには何度でも言っとくわ。ほっておくと死にに行っちしまうようなやつにはな」
「ちっ…黙れ…」
「……」
図星を突かれ、舌打ちをするソーマと何も言えないユーヤ。リンドウは口角をあげ笑うと、ソーマとユーヤにそれぞれ一枚ずつ紙を渡す。ミッション内容が書かれた紙で、右上には極秘と書かれている。それぞれに紙が配られたということは、別々のミッションなのだろう。ユーヤは連続のミッションに駄々をこね始める。
「キャンセルで」
「上司命令だ。ほら、行ってこい」
「やだ。ソーマと一緒に両方行く」
「極秘って書いてあるだろ」
リンドウの言葉にユーヤはソーマの服を引っ張り俯く。ソーマは察した。完全に拗ねていると。これ以上めんどくさいことにならないように、ユーヤの頭を軽く撫でながらそっと耳打ちをする。するとユーヤは先ほどまでの機嫌が嘘のように元に戻り、再びソーマとミッションに向かった。エントランスにはリンドウとサクヤとコウタが取り残される。コウタは頑なに言うことを聞かなかったユーヤにソーマが何を喋ったのか気になるらしく、リンドウに尋ねた。
「ソーマさん、一体何を喋ったんスかね…」
「大方、魔法の言葉でも使ったんだろう」
「魔法の言葉?」
「そのうちわかるようになるわよ。意外と子供なのよ、あの子達」
笑いながら言うサクヤに、コウタはますます謎が深まった。
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