海を奏でるお姫様《本編・短編》

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『ここは…』


すでに死んだと思っていたのに、気がつけばどこかわからない場所に立っていた。どういうこと?一体、何が起きたの?訳がわからずに戸惑いながら辺りをキョロキョロと見回してみると、ここはジャングルのような場所だということを理解し始める。
私は確かに死のうと思い、屋上から飛び降りたはずだ。じゃああのまま私は死んで、ここは天国…ということなの?


『天国って、ジャングルだったんだ…』


いや、きっと違うはず。天国がジャングルなんて今まで一度も聞いたことがない。実際に天国へ行ったことがないから絶対にそうだという確信は持てないが、違うと思いたい。
ならば、ここはどこなのだろう。夢の中…にしては意識がはっきりしすぎている。もしかして、落ちた勢いで外国まで突き抜けたてしまったのだろうか。


『って、ふざけてる場合じゃないよね』


自分のいい加減さにいよいよ呆れてくる。だけど、それぐらい奇想天外なことを考えないとこの状況を説明することなんてできない。


『…どうすればいいんだろう。こんなジャングルの中じゃ、何もわからない』


情報なしで動くのは危険だろうけど…まあ、いいや。軽い気持ちで足を動かし始める。ああ、やっぱり意識がはっきりしている。



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