海を奏でるお姫様《本編・短編》
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誰かの役に立ちたい…必要とされたい。それをどんなに思っていても、それだけじゃ何もできないのだと知ったのはまだ幼い時だった。
「気色が悪いのよ!このバケモノ!」
それは一体、誰から言われた言葉だったか。いや、誰かなんてものじゃない。私の姿を見るとみんなそう言うのだから。私を産んだ実の母ですら…私のことはバケモノ′トばわりだ。
「あんたは、私の子じゃないわよっ!」
『お母、さん…』
「お母さんなんて呼ばないで!」
青い髪に、青い瞳…それは誰から見てもバケモノ。私は生まれつきこの髪と瞳を持っている。両親はもちろん、どちらも日本人。なのに生まれたのは青い子ども。普通と違うのは一目瞭然だ。
「あんたなんて、産まなければよかった…!」
何度そう言われただろうか。何度泣いただろか。幼い時からこんなことを言われ続けた私は、もう笑い方を忘れていた。
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