海を奏でるお姫様《本編・短編》

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しかし、そんな私にも光はあった。お母さんとは違い、例えバケモノの子どもでも愛してくれたお父さん。しかし彼は、数年前に他界した。


「ニノ!聞いてくれよ〜っ!」


そう言って私にひっついてくるこの男こそ、父をなくした私を唯一受け入れてくれる実の兄だ。桜井 ユウマ。彼はとても頭が良くて、運動もできる。たくさんの人から頼られていて、私とは真逆の存在だった。


『ユーマ兄?どうしたの?』


「ワンピースの新刊買ったら、小遣いがなくなっちまったんだよ!」


『それなら、どうして買ったの…』


「だって本当に面白いんだからな!?お前も見ろって、ほら!」


私の光は彼しかいないけど、それでも十分幸せだった。ユーマ兄さえいれば、私は生きていける。しかし、神様は私のことはとことん嫌いなようだ。



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