無人惑星サヴァイヴ

□第5話
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メノリ「皆、聞いてくれ。この星に文明を持った生き物がいれば、この星から脱出できるかもしれない。が、しばらくはここで過ごすことになるだろう。皆、そのつもりでいてくれ」



ルナ「そうと決まれば、早速水と食料を探さなくちゃ!」



メノリ「その前に、各自自分の荷物を持って、もう一度集合だ。どんなものがあるのかチェックしておこう」



ベル「うん」



ハワード「へいへい、わかりましたよ」



渋々といった様子で返事をするハワード



皆が動き出す中、シャアラだけがボーッとした様子で動かない



ルナ「シャアラ」



シャアラ「きゃっ!」



肩に置かれたルナの手を、シャアラは反射的に払った



ルナ「大丈夫?シャアラ」



シャアラ「ぁ、ええ・・・」



そうは答えるものの、彼女の様子はかなり暗かった










メノリ「シャトルにあったのが、水と食料の残り、オールが一本、エネルギー切れのレーザーガンにソーイングセット。ルナのリュックに、ベルの筆記用具。私のハンカチと。シャアラはポーチにハンカチ、洗面道具にキャンディ。カオルは何もなしで、アスカはポーチに、PDAとハンカチ、タオル。シンゴは工具セットとカッターナイフ。ハワードは手鏡と櫛かぁ・・・」



ハワード「男の嗜みだ!そういえばお前、箱を持ってたよな?アスカももうひとつポーチがあっただろ?」



メノリ・アスカ「「アレは使えない」」



ハワード「とか言って、中に食べ物でも隠してあんじゃないのか?」



メノリ「ヴァイオリンだ!」



ハワード「ヴァイオリン?じゃあアスカのは?」



アスカ「なんだっていいだろう。教える気はない。食料じゃないのは、間違いないとは言っておく」



ハワード「疑わしいな。中身がなんなのかくらい、教えてくれたっていいだろ!」



アスカ「断る、ボクのプライベートに関わる。君にそこまで教えてやる義務も義理もない」



ハワード「何ぃ!?」










メノリ「それじゃあ朝食にしよう。これが最後の食料だ。そのつもりで食べてくれ。食事が済んだら、シンゴとチャコは通信機の修理、残りの者は手分けして水と食料の確保だ」



それぞれが返事をする中、チャコだけがシャトルに向かう



チャコ「ほな、ウチは先に行って、通信機の様子でも見てくるわ」



ルナ「食べないの?」



ハワード「お前も食べるのか!?」



チャコ「ウチは燃料電池で動いてるから、水素が必要なんや。水素を作るためには、糖分とって分解せなあかん。ビスケットじゃ不純物が多すぎて、身体に悪いわ!」



そう言うと、チャコはシャトルの中へと姿を消した



ハワード「それじゃ、あいつの分は僕がいただく」



メノリ「いや、駄目だ。平等に分ける」



ハワード「ちぇっ」










メノリ「よし、終わったな」



ハワード「これっぽっちじゃ腹の足しにもならないぜ・・・」



メノリ「それじゃあ手分けして、水と食料の確保だ」



ベル「俺、森の中を探すよ。その方が食料も有りそうだし」



ルナ「森の中は危険じゃない?」



ベル「大丈夫。肉食動物は、大抵昼間は寝てるんだ」



ルナ「でも・・・」



カオル「オレとアスカも行こう」



ルナ「カオル!それにアスカもって・・・」



アスカ「別に問題ない」



メノリ「それじゃあベルとカオル、アスカは森を頼む。何がいるかわからないから、ナイフを持って行ってくれ」



メノリが差し出したナイフをカオルが受け取る



メノリ「ルナとシャアラは向こうの岬を。私とハワードはこっちの磯へ行く」



ハワード「ん?僕も行くのか!?」



メノリ「当たり前だ!」



ハワード「ちぇっ!」



メノリ「ルナ、川を探してくれ。川が見つかれば水は確保できる」



ルナ「うん」



メノリ「それから、何も見つからなくても暗くなる前に帰ってくること。これだけは守ってくれ」



ルナ「了解!」



ベル「わかった」



メノリ「では出発だ!」



その言葉で、一度解散となった



シンゴ「皆ぁ!気を付けてねぇ!」



森の入り口でカオルは長い木の棒を拾い、ナイフで先を尖らせる



更に邪魔な枝を切り落とす



カオル「ベル」



削ったその木を、ベルに投げ渡す



ベル「?」



カオル「念のためだ。アスカ」



アスカ「ん」



同じようにしてもう2本作ると、ひとつはアスカに手渡し、もうひとつは自分が持って構える



3人はカオルを先頭にし、森の奥に入って行った



それから、しばらく森の中を歩いていると



アスカ「カオル」



ふと、アスカに呼び止められる



カオルが振り向くと、枝についている葉を見ているベルを、アスカが見ていた



カオル「どうした?」



ベル「この先に、食料はないと思う」



カオル「なぜわかる?」



ベル「葉っぱの形」



カオル「葉っぱ?」



ベル「さっきまでは丸かったのに、ここのは尖ってる」



そう聞いて、カオルが辺りを見る



ベル「こんな葉っぱの木になる実は、硬くて食べられるものが少ない。まださっきの方が何かあると思う。昔、父さんに教えてもらったんだ」



少しの間、黙っていたカオル



アスカと顔を見合わせると、頷いたのを確認する



カオル「戻ろう」
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