ワンピース《ロー》

□政府の少女兵
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「どうしたよ、てめぇら!掛かって来いよ!あぁ!?」



シャチ「どうすんだよ?」



ペンギン「キャプテンがいないとこで、下手に騒ぎ起こしてみろよ?バラされるぞ」



シャチ「そ、それは勘弁だ」



クローゼ「アホか、とっくに騒ぎになってんだよ」



シャチ・ペン「うおぉっ!?」



クローゼ「・・・そこまでビビんなくてもいいだろうに」



背後から聞こえてきた声に、ハートの海賊団船員・シャチとペンギンの肩が跳ねた



振り返るとそこにいたのは、クローゼだった



呆れた様子でいるらしく、長い前髪から覗く翡翠の右目は細められていた



更に後方には、彼らのキャプテンであるトラファルガー・ローの姿も見える



大太刀を肩に担ぐようにして持ちながら、両腕を組んで立っている



クローゼ「とりあえず、お前らハートの海賊団は下がれ。ここは海軍の人形兵器(オレ)が対処しとくよ」



シャチ「お、お前が?」



クローゼ「大方、引き下がったのはいいけどオレの横槍に納得できず、オレがいなくなったのを良い事にまた暴れ出したってとこだろ?これはオレの不始末でもある。トバッチリ食らっただけの立場にある今のお前らなら、まだ見逃してやる事ができる。だから、退け」



最後の「退け」は、冷たく言い放たれた気がした



右手を後ろに回すと、帯の結び目に伸ばした



そこにあったのは、1本のサバイバルナイフ



鞘から引き抜かれた刀身が日光に当たり、その白刃が反射して眩しく見える



綺麗に手入れされているそれは、素晴らしい程のシルバーの輝きを放っていた



そのナイフを逆手に持ち変えると、顔の前に持ってくる



顔の前で構えるそれとクローゼの鋭い眼差しに、海賊は一瞬怯む



ハートの海賊団も、思わず一歩後退する



後ろ姿からでも伝わってくる、クローゼの殺気



敵意を向けられているわけでもないのに、こちらまで殺されそうだと錯覚する程だ



ロー〈なるほどな・・・〉



バーテンダーが殺人人形と言っていた事に、この時点で納得がいった



「こ、の・・・!くそガキ!舐めてんじゃねぇぞ!!てめぇからぶっ殺してやる!!」



クローゼ「だから、そういう三下な台詞は・・・」



ひゅっ



風が通り抜けるような、そんな音がした



瞬きをしたほんの一瞬の間に、クローゼはその場から消えていた



とんっ



クローゼ「死亡フラグだって言ったろ?」



「!?」



軽くぶつかって来たのは、クローゼだった



「う、うわぁ!!」



剣を振り下ろすが、クローゼはふらりと後退する



そこから勢いを付けると、飛び上がって自分よりも体の大きい男の頭を目掛けて回し蹴りをする



海賊の男は横に吹き飛び、側にあった建物の壁に直撃する



クローゼ「ちっ・・・石頭な石頭」



悪態を吐くと顔を上げ、海賊達を睨み付ける



クローゼ「まだやる?船長は一撃でKOだけど?」



「そいつは副船長だ。船長はこの俺だよ」



クローゼ「そいつは失礼」



完全に気を失っている様子の男を指差したのは、更に巨体な男だ



クローゼの2倍はあるだろう



「おいガキ。あんまし調子に乗ってんじゃねぇぜ」



クローゼ「調子に乗ってるのはどっちなんだか。援軍を呼ばれないだけマシだと思えよ」



「援軍だ?」



クローゼ「“海軍の死神”。この異名くらいは聞いたことあるだろ?」



「“海軍の死神”だと?まさか、お前がか?ハッ!冗談は止せよ!残酷冷酷で有名な、あの死神だってか?」



クローゼ「ま、信じられないってんなら・・・いっぺん死んでみる?」



「抜かせ!!」



クローゼ「あっそ」



振り被った剣が下される



それを左にズレることで避けると、流れるような動きで前に踏み出す



右手に握られていたナイフを素早く順手に持ち替え、横に薙ぎ払う



すとんっ



男の背後で、着地したような音が聞こえた



クローゼ「その腕で、まだやる?」



「何?」



次の瞬間、男の両腕が切断された



手首から先が地面に落ち、まるで噴水のように赤が飛び散る



「うおおおぉぉぉぉぉあぁぁぁぁぁ!!」



そして響き渡るのは、男の絶叫



クローゼ「さてどうする?結構良い所で斬り落としたから、出血多量で死ぬぜ?それとも、オレにトドメ刺されたい?選ばせてやるよ」



なんの感情ものっていない、冷たい言葉が放たれる



それに冷や汗を流したのは、この場にいる全員だろう



ローでさえ、軽く両目を見開いて冷や汗を流している



彼の視線の先には、肩までの黒髪を風になびかせている−−まさに“死神”のようなクローゼの後ろ姿



医者じゃなくてもわかるが、あの出血量ではもう数秒くらいしか保たないだろう



その中での、死に方の選択−−



だが男は選べないまま、その場に倒れて動かなくなった



ロー〈出血が多過ぎるってのもあるが、こいつはショック死で逝ってるだろうな〉



我ながら、冷静な判断をしている



だがその一方で、今対象になっているのが自分達でない事にホッとしてる



そんな中、クローゼがこちらに顔を向けてきた
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