無人惑星サヴァイヴ
□第8話
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ルナ・アスカ「「!!」」
何かを感じたルナとアスカ
途端、ルナが両手で頭を押さえた
アスカも反射的に左手で頭を押さえ、その場に立ち尽くす
シャアラ「どうしたの?」
メノリ「ルナ、アスカ?」
ルナ「ちょっと・・・」
ハワード「見ろ!果物があるぞ!」
ルナ「ホントだ」
アスカ「・・・魚もあるな」
ルナ「え?・・・あ、ホントだ」
足元を見たアスカが言うと、確かに湖には魚が泳いでいた
伸ばされたアスカの手を掴んで立ち上がったルナ
それを確認すると、アスカは湖から上がった
カオル「大丈夫か?」
アスカ「ん、平気・・・」
カオル「・・・」
以前、ルナ達が登った大きな木には、シャアラが大いなる木と名付けた
その木の上に家を建てるのはどうかと提案するシンゴ
だが木のそばにシャトルにあったのと同じ足跡があるのを見つけ、保留となった
ゴムボートに水を貯め、全員でそれを運ぶ
途中、シンゴが足を滑らせた
なんとかベルが掴んで、水が盛大に溢れることは防がれた
ルナ「大丈夫?」
シンゴ「うん」
メノリ「気を付けろ、少し溢れたぞ!」
シンゴ「ごめん・・・」
ルナ「シンゴだって、わざとやったわけじゃないんだし」
メノリ「ひとりの失敗で全員が迷惑を被るんだ。もしここで溢してしまったら、また湖まで戻らなければならない」
シンゴ「わかった、気をつけるよ」
と、少し刺々しい空気にはなったが、なんとか掘った穴に水を貯めることができた
ハワード「これで当分水の心配はいらないな」
メノリ「とはいえ、十分な量とは言えない。飲みたい時には、私に許可を取って欲しい」
ベル「これは、どうする?」
ルナのリュックを開け、ペットボトルと果物についてベルが聞く
メノリ「ペットボトルは各自1本ずつ配布する。それぞれ管理してくれ。果物は夕食にする」
ハワード「こんだけじゃ足りないぜ」
ルナ「あたし、シャアラと一緒に果物を探してくるわ」
シャアラ「うん」
メノリ「では、カオル、シンゴ、ベル、アスカは魚を頼む」
シンゴ「・・・わかった」
ハワード「僕はトビハネだ。なんたって、猟の経験があるのは僕だけだからな」
メノリ「単独行動はやめてもらう。私も同行する」
ハワード「あ?勝手にしろよ!ただし、足手まといになったら置いてくからな」
トビハネの話が持ち出された時、シャアラが暗い表情をした
それに気付いたのは、ルナとアスカだけだった
夜、再度集まった彼らだったが、収穫はルナ達が見つけてきたキノコと木の実だけ
だがチャコが調べた結果、どちらも食べられる物ではなかった
ハワード「僕は肉が食いたいんだ!」
シンゴ「肉かぁ・・・僕は目玉焼きを乗せた、おっきなハンバーグが食べたいなぁ」
ハワード「肉汁がたっぷりの分厚いステーキ!カリカリに炒めたベーコン!じっくりと煮込んだビーフシチュー!あー、堪らない・・・!」
チャコ「想像力だけは、一人前やな」
ハワード「何ィ!?このっ・・・!」
メノリ「果物も、ここにあるしかないんだ。明日は必ず食料を確保しよう」
ハワード「あー、もう!肉だ肉だ!肉が食いてぇ・・・!」
アスカ「・・・」
カオル「・・・」
ボーッとした様子で火を眺めるアスカ
それを気にしてか、カオルはアスカを横目で見つめる
先程まではハワードの発言に呆れたような顔をしていたが、今はどこか浮かない顔をしていた
トビハネを捕獲し、食料とする
アスカとて、全く気にしていないわけではなかった
いや、むしろアスカだからこそとも言える
アスカだからこそ、気にしているのだ
それを知っているからこそ、カオルはアスカが気がかりだった
普段から命についてあれこれと考えている、いや、考えざるを得ないアスカ
これまでは俯瞰しているだけだったアスカが、直接的に奪う立場となる
その事を、アスカがどう考えているのか
聞きたくても、聞けなかった
命の重さを、ここにいる誰よりもよく知っているアスカ
だからこそ、奪う側の立場になれば、辛いのも苦しいのも当然だろう
カオル〈アスカ・・・〉