遊戯王5D’s

□ダークシグナー編
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矢薙「もう、随分昔に見たもんだからなぁ」



雑賀の隠れ家に到着した遊星達



矢薙は、かつて見たという何かの図面を紙に書いている



矢薙「うろ覚えだが、こんな感じだ」



遊星「!」



リーシャ「!!」



遊星「この尻尾が・・・」



龍亞「遊星、どうしたの?」



出された遊星の右腕には、紙に書かれた竜の尾の痣があった



龍亞「龍可、お前の・・・」



出された龍可の右腕にある痣と、紙を見比べる



龍亞「龍可はこの手の部分・・・どういう事なの?」



矢薙「ワシが聞いた星の民の伝説では、赤い竜の頭、翼、手、足、尻尾の5つの部分が、それぞれ別れてシグナーと呼ばれる人達に痣となって封印されたということじゃった。そして、赤い竜に愛されたという天空の巫女には、竜の全体図が痣となって描かれてるそうだ」



氷室「待てよ。今わかってるシグナーは、遊星、龍可、ジャック。それに、十六夜アキの4人。でもあの赤い竜が現れたってことは・・・」



矢薙「5人目もどこかにいたのかもしれんのぉ。そして、天空の巫女も」



遊星「・・・・・・」



リーシャ「・・・・・・」



龍亞「どっかに痣、ないかなぁ」



自分の体を探し始める龍亞を無視し、もう一度紙に書かれた竜の図を見つめる龍可



すると急に脱力し、倒れそうになるのを矢薙が支える



矢薙「おっと」



遊星「龍可!」



龍亞「龍可!どうしたんだ?」



龍可「大丈夫。ちょっと、疲れただけ」



氷室「無理もないな。この2日、色々なことがあり過ぎたからな」



リーシャ「・・・・・・矢薙のおじさん」



矢薙「ん?」



リーシャ「天空の巫女には、竜の全体図が痣となって描かれてるって・・・そう言ったよね?」



矢薙「ん、ああ・・・」



リーシャ「・・・・・・ごめんね龍可ちゃん、ちょっと」



龍可「え?あ、うん」



龍可を連れて部屋を出ると、少ししてまた戻ってきた



龍可「・・・・・・」



龍亞「どうした、龍可?」



龍可「・・・・・・あった」



龍亞「え?」



龍可「竜の全体図・・・・・・リーシャさんの、胸にあった」



龍亞「えぇ!?」



矢薙「じゃ、じゃあ!お嬢ちゃんが天空の巫女!?」



氷室「マジか!?」



リーシャ「わからない。でも、昔からあった」



氷室「生まれ付き、とか言わないよな?」



リーシャ「【ふるる】本当にわからないの」



遊星「誰か身内に聞いた方がいいんじゃないのか?何か知っているかもしれない」



リーシャ「・・・・・・それは、たぶん、無理。親が誰なのかわからないし、きょうだいがいるのかもわからないから」



遊星「え?」



リーシャ「私・・・・・・生まれてから3年前までの記憶がない、から」



氷室「本当に、記憶喪失だったのか?」



リーシャ「たぶん。気が付いたら、そこにいた。私が覚えていたのは、自分の名前と、わけのわからない単語だけだった。それがシグナーとか、赤き竜とか、天空の巫女とかっていう単語で・・・あとは名前だけ。親の顔も名前も、どこに住んでいたのかも。自分がいつ生まれたのかも、今何歳なのかも、今までどこで何をしていたのかも。何も覚えてなかったの。この痣も、気が付いたらもうあった。だから私は、本当に何も知らないの」



遊星「・・・・・・すまない」



リーシャ「謝らないで。私なら、大丈夫だから!」



そう言って笑顔を向けたリーシャは、紙に書かれた竜の図を見つめる



なぜか、引かれるように



ズキッ



リーシャ「痛っ」



遊星「リーシャ!どうした?」



リーシャ「だ、大丈夫。ちょっと頭が・・・【ズキッ】っ・・・!」



氷室「おい!」



龍亞「リーシャ姉ちゃん!?」



龍可「リーシャさん!」



矢薙「お嬢ちゃん!」



遊星「リーシャ!リーシャ!!」






『リーシャ様!!』






リーシャ「え?」



遊星「リーシャ!!」



リーシャ「え?」



遊星「大丈夫か?」



リーシャ「あ、うん。ちょっと頭痛かったけど、もう大丈夫みたい」



氷室「おどかすなよ、ったく」



リーシャ「ごめんなさい」




















その日の夜



みんなが寝静まる中、遊星はひとり竜の図を見ていた



リーシャ「・・・・・・ん・・・遊、星・・・?」



遊星「すまない、起こしたか?」



リーシャ「ううん。目が覚めちゃっただけ。なんだか・・・嫌な感じがして・・・」



遊星「嫌な感じ?」



リーシャ「うん」



そう言って体を起こしたリーシャは立ち上がると、窓に歩み寄った



リーシャ「・・・?遊星」



遊星「どうした?」



呼ばれて窓に近付き、外を見た



遊星「!」



リーシャ「遊星?」



遊星〈疼く・・・!だがこの疼き、今までと違う。抉るような・・・〉



リーシャ「うっ・・・!」



遊星「リーシャ?」



呻き声に視線を向けると、苦しそうな表情で胸を抑えるリーシャが目に入る



リーシャ「っ・・・誰?」



遊星「え?」



彼女の言葉に、窓の外を見る



すると下にいる人物が目に入った



黒いフードを被った、腕に痣を持つ人物



遊星「シグナーなのか!?」



リーシャ「待って・・・!」



下に行こうと駆け出す彼の上着を掴み、リーシャが引き止める



弱々しい力だったが、引き止めるには十分だった



リーシャ「連れてって・・・私も・・・」



遊星「だが・・・」



リーシャ「お願い・・・!お願い、遊星・・・」



浅く呼吸を繰り返し、苦しそうにしながらも懇願してくるリーシャ



本来ならば残して行くべきなのだろうが、今の彼女を放っておく事も出来ない



それに、早く追い掛けなければ見失ってしまう



仕方なく、彼女の背中と膝裏に手を回し、抱え上げる



そのまま、雑賀の隠れ家から飛び出した
 

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