ワンピース《サボ》

□次元を渡って
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《助けて・・・!!》



??「・・・ん?」



??「どうしたの、サボ君?」



サボ「いや・・・」



サボ〈気のせいか?〉



《助けて・・・!!》



サボ「!?」



??「サボ君?」



サボ「今、声が・・・」



??「声?」



サボ「コアラは聞こえなかったのか?」



コアラ「私は別に・・・ハックは?」



ハック「いや・・・」



サボ「・・・・・・けど、確かに聞こえたんだ」



ハック「見聞色の覇気か?」



コアラ「まさか・・・こんな嵐の中、海に誰かいるって言うの?」



サボ「・・・・・・」



次の瞬間、サボは木製の床を蹴って走り出した



コアラ「ちょっ、ちょっとサボ君!?」



慌てて彼のあとを追うコアラとハック



甲板に飛び出すと、船の周辺を囲むのは嵐で荒れる海



荒々しい風と雨が邪魔をする



しかしサボはそんなものを気にすることもなく手摺に駆け寄り、目を凝らして辺りを見回す



ハック「おい、サボ!」



コアラ「サボ君!」



同じく甲板に飛び出してきたコアラとハックも駆け寄る



コアラ「本気で人がいると思うの!?戻った方がいいよ!」



赤いキャスケット帽子が飛ばされないよう手で押さえながら、彼女はサボに向かって声を張り上げる



強い風が吹き、黒いシルクハットが飛ばされかけるが、サボは荒れる海に目を向けながら片手で押さえた



サボ「・・・・・・ッ!?いた!」



コアラ「えっ?」



同じ方向を見て目を凝らす2人



するとその先で、暗い青色よりもさらに暗い色の漆黒を捉えた



コアラ「でも人かどうかは・・・って、ちょっとサボ君!?」



サボ「俺の服頼んだ!」



黒いコートと白いスカーフ、シルクハットをコアラに預け、止める間もなく海へと飛び込んでしまった



コアラ「毎度、毎度・・・!ホントにムチャクチャなんだからぁ!」



愚痴を言いながらも、しっかりと彼の衣服を預かるコアラ



やれやれだと言いたそうにしているハックは、戻ってくるだろうサボを引き上げる準備をする



荒れ狂う波に逆らい、漆黒を目指すサボ



あと少しと言う所で、それは海に沈んでしまう



空気を吸い込み、それを慌てて追うように潜る



目に入ったのは、漆黒の髪の少女−−



気を失っている様子の少女を追い、しっかりと手を掴んだ



力強く引き寄せ、海面へと急ぐ



サボ「ぷはっ!おい!しっかりしろ!おい!!」



少女からの返事はない



近くまで来ていた船になんとか戻り、少女をコアラに預ける



サボ「かなり水を飲んでる!」



コアラ「任せて!」



すぐに心肺蘇生を始めるコアラ



ハック「しかし、なぜこんな娘がひとり海に・・・」



コアラ「その話はあと!ハック、毛布持ってきて!なるべくたくさん!」



ハック「わかった!」



サボ「助かるか!?」



コアラ「わからないけど、とりあえず水を吐かせないと!身体も冷えきってるし・・・このままじゃあ・・・!」



サボ「ッ!」



嵐の夜−−革命軍の船は、荒れ狂う海で少女を拾った



これが、物語の序章・・・



全ての始まりだった−−
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