ワンピース《サボ》

□革命軍
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玲衣「・・・・・・っ・・・」



重い瞼が開き、目を覚ます



見慣れない天井と、体が揺れている感覚に疑問を持つ



ここはどこなのだろう・・・と



上体を起こして見回すと、部屋の中だとはわかった



アルコールなどのにおいがする事から、部屋は部屋でも医務室のような場所だろうと思う



玲衣〈でも、揺れてるのはなんで・・・〉



そう考えていると、ガチャリとドアノブが回された



入って来たのは、ショートヘアの女の子



自分と同じくらいの歳だろうか・・・



コアラ「あ、目が覚めたんだ。良かったぁ!心配してたのよ!」



彼女の後ろから、シルクハットを被った男の子と・・・



玲衣〈魚・・・?〉



人のような、だが魚に近い人が入って来た



コアラ「顔色もだいぶ良さそうだし・・・これなら大丈夫よ」



サボ「そうか、よかった・・・」



ハック「あんな嵐の日に海におったのは驚いたが・・・無事で何よりだ」



玲衣〈海?あ、そうだ・・・川が決壊して、流されて・・・でも気が付いたら川じゃなくて海で・・・〉



コアラ「あなた、3日も目を覚まさなかったのよ?」



玲衣「!?」



コアラ「でも本当に良かった。ねぇ、名前は?私はコアラ!」



サボ「俺はサボ」



ハック「わしはハック」



玲衣〈あ・・・〉



周囲をキョロキョロと見回す玲衣



声が出ないため、筆談をしようと思ったのだ



コアラ「どうしたの?」



喉にトントンっと触れ、軽く左右に首を振った



サボ「ひょっとして、声が出ないって言いたいんじゃねぇか?」



彼の言葉に、玲衣は頷いた



コアラ「そうだったの・・・あ、そうだ。よかったら、これ使って。私のメモ帳だけど」



“ありがとう”という意味を込めて頭を下げると、スラスラと文字を書いていく



それを見せるのだが・・・



サボ「・・・何語だ、これ?」



コアラ「さぁ・・・?」



“助けて下さってありがとうございます。

私は玲衣と言います。”



そう書いたのだが、どうやら彼らは読めないらしい



玲衣〈ただの日本語なんだけど・・・あ〉



コアラ「あ、ちょっ・・・!」



突然、コアラのメモ帳をパラパラと前に向かってめくり始めた



玲衣〈・・・話してるのは日本語なのに・・・書いてあるのは、英語?〉



そこで今度は、英語で先程と同じ文章を書いた



コアラ「いいのよ、気にしないで。レイちゃん、っていうのね?可愛い名前!」



今度は通じたらしい



英語は得意な方だったからよかった、と密かに思った



コアラ「それで、レイちゃんはどうして海にいたの?しかも、あんな酷い嵐の夜に」



玲衣「・・・・・・」



わからない・・・としか言えなかった



信じてもらえないだろう、そう思いながらも書き綴った



“私は日本という国にいました。

台風で家の近くの川が決壊して、流されたんです。

やっと水から顔を出せたと思ったら、そこは川ではなく、海でした。気が付いたらもう、海の中だったんです。

だから私も、どうして自分が海の中にいたのか・・・わかりません。”



コアラ「そうだったんだ・・・でも、“ニホン”なんて名前の島、あったかな?」



サボ「さぁ?初耳だな」



ハック「わしもだ」



玲衣〈え?〉



彼らの会話に、玲衣は目を見開く



日本を知らない?



コアラ「レイちゃん?大丈夫?」



だいぶ間を空けてしまったが、なんとか頷き返す



コアラ「・・・・・・大丈夫!レイちゃんがちゃんと帰れるように、調べてみるから」



玲衣「!」



“本当ですか?”



コアラ「うん!」



笑顔で頷いたコアラに、安堵のため息を吐く



だが直後、気付いた



自分が帰った所で、誰が喜ぶのだろうか・・・?



途端に暗い顔をする玲衣



それに一番に気付いたのは、コアラではなくサボだった



コアラ「あ、そうだ!お腹空いたでしょ?待ってて、何かもらってくるから。サボ君、ちょっとの間よろしくね」



サボ「ん?ああ」



一瞬だけ反応に遅れたが、コアラは気にした様子もなくハックと部屋から出た



玲衣〈い、いきなり2人になっちゃった・・・〉



サボ「・・・ん?」



玲衣「!」



思わずじっと見つめてしまっていた玲衣



それに気付いたサボが、彼女に顔を向ける



慌てた様子を見せる玲衣を見て、サボは思わず苦笑した



サボ「そんな顔するなよ。別に取って食ったりなんかしないさ」



玲衣「−−!」


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