名探偵コナン

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「待ちなさい!」



黒いパンツスーツに、カーキ色のミリタリーコートを羽織った女が走る



更に後ろを、同じようにスーツを着ている男達が走っている



「そこまでだ!」



女が拳銃を構えて、立ち止まる



追い掛けられていた男が、行き止まりで立ち往生しているのを見計らっての行動だ



「両手を頭の後ろで組んで、膝を付きなさい!」



女刑事・一瀬(イチノセ)泉美(イズミ)が指示する



泉美「ったく、手間を掛けさせる・・・!ほら、立ちなさい」



手錠を掛けた男を立たせた時、他の男刑事達が駆け付けた



泉美「遅い、(シュウ)



朱矢「いや、あんたが速いんだって・・・」



先輩刑事に当たる彼・沖本(オキモト)朱矢(シュウヤ)に文句を言う泉美



アメリカからの帰国子女である彼女は、苗字で人を呼ぶことに慣れていなかった



今年で24歳を迎える彼女は、その人生の3分の2・・・つまりは約16年をアメリカやイギリスで過ごしていた



元々はイギリスにいたが、アメリカに移ったのだ



そこから日本へと帰って来た



泉美「玲次(レイジ)なんか私より若いくせに」



玲次「先輩と同意見です、一瀬先輩が速いんです」



2年後輩の安立(アダチ)玲次(レイジ)も、曲げた膝に手を付いて同じ事を言った



事実は単純で、この先輩後輩の言う通りだった



彼女・一瀬泉美の足が速いのだ



おまけに彼女はかなりアクティブな性格で、特に行動力にそれが現れている



運動神経が良いこともあり、アクロバティックな動きをする事もある



そんな一瀬泉美に、周りは振り回されていた



が、特に成績が悪いわけでも、性格が悪いわけでもない



むしろ事件解決率は高い上、人付き合いも悪くはない



人と接するのは苦手だと本人は言うが、不器用なだけで優しさや思い遣りもあるし、面倒見も良い



上からも高い評価を得ている



射撃の腕前も課の中では1、2を争う程



狙撃経験は無いが、やってみないかと声を掛けられる程だ



ドライブテクニックもお手の物だ



が、たまに法律に触れるか触れないかギリギリの事を仕出かす



警視庁のトラブルメーカーとも言われている



泉美「犯人逮捕しただけなのに、なんで怒られるの?」



朱矢「あんたがギリギリ法律違反紛いな事するからだ。俺も絞られるんだから勘弁してほしいな」



上からお説教を食らった2人が、警視庁内の廊下を歩く



今回のお説教の原因は、鬼ごっこの前に行われたカーチェイスが原因だ



事故にはならなかったし、怪我人も出てはいない



不幸中の幸いだった



朱矢「全く、お詫びに飯でも奢ってもらいたいもんだな」



泉美「あ、今日ダメです」



朱矢「即答かよ・・・あぁ、そっか。今日は愛しの彼氏が待ってるとかか?」



泉美「ち、違います!」



朱矢「あんたみたいなわんぱく女の、どこが良いんだか・・・」



泉美「喧しい!」



朱矢「ちょっ!?待て待て!お前の格闘技は死ぬから、マジで!」



剣道、柔道、合気道、シラット



などといったものの経験を持ち合わせている泉美



そんな彼女にも、彼氏はいる



水嶋(ミズシマ)弘人(ヒロト)、30歳



一般企業のサラリーマンだ



たまたま彼が訪れた店で、強盗犯を取り押さえたのが出逢いだった



勿論、警察官である彼女は職務上機密事項は多々ある



それでも、彼は彼女を受け入れたのだ



朱矢「・・・・・・気を付けろよ」



泉美「え?」



朱矢「例の密売組織に上がってるんだろ?あんたの彼氏の名前」



泉美「あぁ、上が長年追ってるって組織?確かに名前は上がってますけど、私が見張ってます」



朱矢「あんたは身内に甘いから言ってるんだ。例えば、こうして別行動してる時とか・・・お互い何してんのかなんて、わかんないだろ?」



泉美「それは、まあ・・・」



朱矢「忠告はしたからな」



だが、彼の心配は現実のものとなるーー
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