無人惑星サヴァイヴ

□第3話
1ページ/4ページ




重力嵐を抜け、ようやくシャトルが安定する



ルナ「皆、大丈夫!?」



シンゴ「あぁ、大丈夫だよ」



それにメノリとシャアラが、続いて頷いた



確認して頷いたルナは、再び前を見る



ルナ「重力嵐は?」



メノリ「どんな様子だ?」



ルナ「何も見えないわ」



シンゴ「調べようにも、計器類が壊れちゃってる・・・!」



ルナ「なんとか、やり過ごすことができたのかしら?」



シンゴ「だといいんだけど・・・」



ハワード「重力嵐ったって、大したことなかったじゃないか」



シャアラ「ねぇ、何がどうなってるの?」



ルナ「私達のシャトルだけが、なぜか取り残されてしまったみたい」



シャアラ「えぇ!?そんな・・・!」



ベル「けど、なんでこのシャトルだけ・・・?」



全員「・・・・・・」



ハワード「シンゴ!お前、ここに入ってからずっと色んなスイッチを触ってただろ?きっとそのせいだ!」



シンゴ「それだったら、ハワードだって!」



ハワード「何をぉ!?」



メノリ「待て!その詮索は後だ!」



ルナ「そうよ!まだ、助かると決まったわけじゃないわ!」



メノリ「シンゴ、シャトルの現在位置を特定できないか?」



シンゴ「まだ、僕達のコロニーから、そんなに離れていないと思うんだけど・・・」



ルナ「まずは、救難信号を送りましょう」



シンゴ「うん。ねぇ、アスカ!そっちに・・・アスカ?」



先程からあまり気にしていなかったが、アスカが声を発していない



ルナ「あ、そうだわ!さっきはありがとう、アスカ!・・・アスカ?」



さすがにおかしいと思ったルナは、アスカの正面に回る



俯いているせいで顔が見えないが、少し覗き込むと目を閉じていた



ルナ「アスカ?アスカ。アスカ!」



メノリ「どうした?」



ルナ「アスカが・・・」



カオル「!?アスカ!」



珍しく慌てた様子のカオルが駆け付け、アスカの肩を揺する



そんな彼の様子に周りが目を丸くするも、気付いていないらしい本人はアスカを呼び続ける



カオル「アスカ、アスカ!」



アスカ「・・・・・・んっ・・・」



カオル「!」



目を開けはしなかったが、声を発したのを聞いて落ち着くカオル



カオル「気を失っているだけ、か・・・」



ルナ「よかったぁ・・・!」



シートベルトを外し、アスカの体を抱え上げて横抱きにする



バランスが取れなかったのか、少し身動いでグズった



が、カオルがすぐに抱え直してやると、動きが落ち着いた



後ろの座席へと移ると、アスカの体をそっと降ろしてやる



それを見送っていた全員だが、最初にハッと我に返ったシンゴがスイッチを触り始める



カオル「アスカ・・・なぜ・・・」



眠ってしまっているアスカからは、返答が返ってくるわけがなかった



一方、スイッチを試しに押していたシンゴ



あるスイッチを押すと、コンピューターが起動した



《私は当機に搭載されたコンピューター、M17》



ルナ「M17、ここはどこなの?」



《計測不能です》



メノリ「救難信号は出せないのか?」



《不可能です》



ハワード「チッ・・・この役立たず!」



怒り任せに、ハワードが座席を殴った



メノリ「なぜだ?」



だがM17はメノリの質問には答えず、別の現状を報告する



《当機はまもなく、惑星の重力圏に入ります。シートベルトをお閉めください》



シンゴ「重力圏?」



ルナ「どこかの星が近づいているの?」



操縦席から外を覗き込むと、あるひとつの惑星が見えてきた



ルナ「・・・あ!」



全員が外を覗き込み、その惑星を視認する



ルナ「地球・・・?」



メノリ「あり得ないだろう・・・」



シンゴ「うん・・・地球はすでに、青い星ではなくなっているはずだし・・・」



ルナ「じゃあ、あの星は何?」



シンゴ「かつての地球、とか?」



メノリ「時間を飛び越えたというのか!?」



シンゴ「宇宙ではありえない話ではないよ」



シャアラ「私達、過去の世界に来てしまったの?」



ベル「それじゃあ俺達、どうなっちまうんだ?」



ハワード「バカ言ってんじゃねぇよ!」



チャコ「あぁ!もう我慢できへん!」



ルナのリュックから飛び出したピンク色の猫型ロボットペット・チャコ



操縦席に向かうと、大きな声で言う



チャコ「ええ加減にせんかい!」



驚きながらも、全員がそちらを振り返る



チャコ「早うなんとかしぃな!」



ハワード「なんだ、こいつ?」



チャコ「こいつとはなんや!ウチにはちゃんとチャコっちゅう名前があるんやで!」



ルナ「ごめんなさい!この子は私の、ロボットペットなの!」



ハワード「お前、そんな物連れてきていいと思っているのか!?」



チャコ「そんな物て、ウチは物やないで!」



ルナ「それはわかってたんだけど、ちょっと手違いがあって・・・その・・・」



ハワード「わかったぞ!シャトルが取り残されたのは、そいつのせいだ!」



チャコ「んなアホな!」



ハワード「そうに決まってる!お前らこの責任とって貰うぞ!」



メノリ「ハワード、落ち着け!」



シンゴ「そうだよ!たかが一匹乗ってただけで、シャトルが勝手に飛び出すわけないだろ」



ハワード「じゃあ、なぜこんな事になったんだよ!?」



カオル「相変わらずよく吠える犬だな」



ハワード「何をぉ!」



カオル「そんなことよりいいのか?だいぶ星が近づいたぞ」
次へ
前の章へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ